8月1日、思いも掛けない突然の訃報が寄せられました。自民党の永岡洋治衆院議員(茨城7区・小選挙区選出)が、東京都世田谷区の自宅で自殺したとの第一報でした。
私と永岡さんの出会いは、平成8年衆議院選挙の応援の際でした。永岡さんは、将来の事務次官候補ともいわれていた農林省の要職を辞し、日本の将来を思い新進党から衆議院に挑戦しました。私も、新進党を応援する一県議会議員として、何度も選挙区であった龍ヶ崎や取手のまちを行き来したものです。投票日を前日に控えた豪雨の中での打ち上げ遊説の際、傘も差さずに最後の必死の訴えを行っていた永岡さんの姿が目に焼き付いています。
残念ながら一回目の挑戦は失敗に終わり、新進党の解体の後、自民党県連の推薦で立候補した平成12年の総選挙にも敗退。平成15年の中村喜四郎元建設大臣の斡旋収賄罪の確定による補欠選挙で、雌伏7年の時を経て当選を果たしました。この間、奇しき縁か永岡さんを再び推薦することになり、出陣式で撮った写真が掲載しているものです。
その永岡さんの突然の死。テレビや新聞では、自民党や民主党の国会議員が「郵政民営化」の問題とリンクさせ、この問題を取り上げていました。
8月3日に通夜、4日には告別式が慌ただしく営まれました。事前に予定が入っていたため残念ながら、いずれも参列できませんでした。この辺の事情が朝日新聞の地方版に掲載されていました。
故永岡議員の葬儀 県連、亀井派に抗議告別式で、葬儀委員長の亀井静香元政調会長は、「私がふがいないばかりに君を守ることができなかった。許してくれ」と泣き崩れたといいます。この様子を聞いて私は、「郵政民営化」ばかりか「一人の人間の死」を、政局に結びつけるパフォーマンスに怒りさえこみ上げてきました。
朝日新聞(asahi.comマイタウン茨城2005/8/5)
8月4日営まれた故永岡洋治衆院議員=茨城7区=の葬儀をめぐり、自民党県連が永岡氏が所属していた亀井派に抗議の意を伝える文書を送っていたことが分かった。亀井派が葬儀について県連に相談しないで決めたことに反発。「県連は特定派閥の議員ではなく、県民の代表として永岡氏を当選させた」としている。
告別式は総和町の町生涯学習センターで営まれたが、県議で参加したのは数人。「異例のこと」(県連事務局)という。
県連によると、葬儀については2日午前8時半ごろ、永岡事務所から日程を伝えるファクスが届いたのみで、事前の相談はなかったという。
県連は00年の総選挙で、党本部の公認を見送られた永岡氏を県連推薦。03年の補選では全県の県議が選挙区入りするなどし、「当選させたのは県連」との自負がある。ある自民県議は「協力したのにふざけるなと思うだろう」という。
県連によると、国会議員らの本葬は死去から15~20日ほど後にするのが慣例という。3日後になったことに、文書で「葬儀がある種の政争の具に利用されるとの疑念を抱かざるを得ない」と、郵政民営化での対立に葬儀を利用しているのではないかと指摘。3日、亀井派の事務所から「利用するつもりはない」との釈明があったという。
郵政制民営化について、永岡さんは自らのホームページでこのように語っています。
郵政民営化問題待ったなし「政府与党が分裂することによる国政の混乱と停滞を国民は望んでいないはず」との永岡さんの思いと反対に、一部の政治家はあらぬ方向に政局を誘導しているように思えてならりません。自民党は小異を捨てて、郵政民営化という大きな改革の一歩を踏み出すべきだと思います。永岡さんが、苦渋の選択で「民営化賛成」の票を投じたように…(合掌)
仮に、何も知恵を出さずに議論だけ継続することとなれば時間切れとなり、自民党の了承を取り付けないまま国会に法案を提出することとなる。その後の国会における混乱は計り知れないものがある。国民はどう評価するであろうか。野党は高みの見物を決め込み、与党の混乱に乗じて政治の主導権を握ろうとするであろう。
私は、現在の政府案に反対の立場である。しかし、政府案の四分社化及び貯金会社、保険会社の完全民営化について工夫を凝らせば歩み寄る余地はあると考えている。それは、郵政公社を民営化し(政府が株式の一部を所有する特殊会社とする)、その下に三事業を行う株式会社を置くという案である。政府は民営化という名を取り、党は三事業一体という実を取るということである。もちろん、細かな点についてはつめるべきことが多いが、このような大胆な折衷案でも出ない限りこの問題に解決の出口はない。
この際、国民に分かりやすく、かつ、国民にとってメリットのある案を政府与党が一体となって策定すべきである。政府与党が分裂することによる国政の混乱と停滞を国民は望んでいないはずである。 対中国外交問題をはじめとして、 緊急に対応しなければならない重要な国政の課題が山積していることを、政府も与党も認識しなければならない。
(ながおか洋治ウィークリーレポート2005/4/27号より)