12月5日、自民、公明の与党は、国会内で幹事長・政調会長会談を開き、公明党が強く求めていた児童手当の拡充について、現行「小学3年生まで」となっている支給対象を、2006年度から「小学6年生まで」に引き上げることで合意しました。公明党から冬柴鉄三幹事長と井上義久政調会長が出席しました。
席上、公明党は先の衆院選でマニフェストに掲げた児童手当拡充について、小6までの支給拡大とともに、所得制限(現在は夫婦と子ども2人の世帯で年収780万円以下)を1000万円以下へと緩和するよう改めて主張しました。その結果、自公両党は「小6までの拡大」で合意し、所得制限に関しては、財源などを含めて引き続き協議することになりました。
また、公明党は、アスベスト(石綿)被害救済策で政府が260万円としていた遺族への弔慰金について、弔慰金の意義や前例を踏まえ、「(葬祭料20万円と合わせて)300万円にすべき」と引き上げを主張し、両党は、大筋、その方向で一致しました。
耐震構造設計偽造問題でも、被害者支援策を、来年の通常国会に提出予定の05年度補正予算案に盛り込むべきとの方針を確認しました。
さらに、行政の仕事の必要性や担い手を見直す公明党提案の「事業仕分け」に関して、12月中に政府が閣議決定予定の「行政改革の重要方針」に盛り込むよう要望し、その方向で検討することで決着しました。
継続審議になっている公明党提出の永住外国人への地方選挙権付与法案の扱いで、公明党側は「2006年の通常国会開会後に、自民党内で説明する機会を与えてほしい。通常国会で何とか進めたい」との考えを重ねて強調しました。
防衛庁の「省」昇格問題については、冬柴幹事長は「自民党内で話が固まれば、われわれも党内手続きを取っていく」と述べつつ、昇格した場合の省の名称について「国際貢献とか平和のニュアンス、思想が出るような名前を考えてもらえればありがたい」と表明しました。
また、自公両党は、国連平和維持活動(PKO)といった自衛隊の国際貢献について、現在の自衛隊法では「付随的任務」とされていることから、「『本来任務』に格上げした方がいい」との認識で一致しました。
参考:公明党の05衆院選マニフェスト
<児童手当などの拡充>
1.児童手当の拡充:2006年度から、児童手当の支給対象年齢を、「小学校3年生まで」から「小学校6年生まで」に拡大し、所得制限の緩和(現行「780万円」から「1000万円」へ引き上げ)をめざします。次の段階として支給対象を中学3年生まで引き上げ、同手当も第1子1万円、第2子1万円、第3子以降2万円へと倍増をめざします。
2.出産育児一時金を現行の30万円から50万円に拡充します。
3.保育サービスの充実:保育所受け入れ児童数を拡大します。いつでも誰でも利用できる「保育サービス」、延長保育、休日保育など多様なサービスを拡大します。
4.小児救急医療体制の整備(24時間対応可能)と小児難病対策の推進を行います。
健康保険8割給付の対象年齢を現行の3歳未満から6歳までに引き上げます。
<中小企業の育児対策支援>
5.育児休業の取得や短時間勤務の導入を奨励するため、100人未満の中小企業に対し、育児休業取得者1人当たり100万円の助成を行うなどの支援の拡大を進めます。
6.子育て支援に積極的に取り組む企業へ社会保険料負担の軽減など支援策を拡充します。
7.事業所内託児施設の設置・運営にかかわる助成を拡大します。
<生活を犠牲にしない働き方>
8.働く親たちの育児負担軽減を図る「育児休業制度」の充実や、父親の育児参加を促すため、育児休業を父親が必ず何日か取得する「父親割り当て制」(パパ・クオータ)を導入します。
9.つどいの広場、地域子育て支援センター、ファミリーサポートセンターの整備など地域子育て支援体制を充実します。
10.長時間労働対策やメンタルヘルス(心の健康)対策等の強化で職場環境を改善します。
11.シングルマザーの雇用の確保など、就労支援をハローワーク等と連携を図りながら促進します。
12.女性の再就職を支援する相談体制の整備や再雇用制度の導入を進めます。
通常労働者とパート労働者の処遇均衡を図るための条件整備を推進します。
<若年者雇用への支援>
13.「若者自立・挑戦プラン」の効率化を図り、フリーター、ニートの総合的な若年雇用対策を強力に推進します(教育段階からの予防的対策に重点化を図ります)。
14.新規学卒者のミスマッチ縮小のための若年者ジョブサポーターを拡充します。
15.高校中退者再出発支援窓口の導入と推進を図ります。
16.就業経歴を書き込める「キャリアパスポート」制度を創設します。就職活動の手順が分かる「キャリアマップ」の作成と推進を図ります。
<子育て夫婦の住宅支援>
17.子育て世代の経済的負担を軽減するために、優良住宅を提供する支援策を促進します。
18.自治体等の賃貸住宅供給者と育児・教育施設とのハード・ソフト面での連携(団地の空きスペースを使った保育事業の展開など)を推進します。
19.公営住宅の整備など安心して子育てできる公的住宅の整備による住宅セーフティーネットの確保を図ります。
20.中堅所得者が負担に応じた良質な賃貸住宅を選別できるよう、優良賃貸業登録制度等を創設します。