今、茨城県の県立病院では、慢性的な赤字体質から脱却するための病院改革が行われています。
7月28日付けの日本経済新聞にショッキングな見出しが躍りました。「県立友部病院・9月に資金枯渇見通し」との記事です。この記事によると、県立友部病院の資金繰りが今月中には行き詰まるとされています。現状のままでは、「手持ち現金」に相当する預金が底をつき、1億円近い資金不足で実質的な経営破綻状態に陥ると、友部病院の危機的な経営状態を伝えています。
昨年度末の時点で、友部病院は2億円余りの内部留保金があり、未払い金や未収金などを計算すると、実際の現金預金残高は5億2000万円ほどありました。
しかし、平成17年度の決算速報値をみますと、友部病院は100円の収入を得るために給与費が145円掛かるといった恒常的な赤字体質であり、職員の夏のボーナスなどを支給した結果、9月21日には1億円の資金ショートを起こす見込みとなります。
この資金ショートを回避するためには、民間銀行からの一時借り入れや、他の県立病院からの借入、県の一般会計からの繰り入れなど対策が考えられます。しかし、抜本的な赤字体質改善の方向性が見えない中、例えば、民間銀行からの一時借り入れ等でその場を凌いだとしても、金利がかさむのみで、事態をより深刻化させるだけです。
こうした赤字体質の改善のためには、県立病院の職員の給与見直しも避けては通れない課題となっています。
中央病院では、医業収益に対する給与費の比率は、県立類似病院の1.22倍となっています。同じように、友部病院では、類似の病院の1.3倍となっています。
病院局では、こうした現状を踏まえて、県立病院を存続させるために、病院職員の給与の削減を労働組合に提示し、現在交渉中です。病院局が提示した削減案は、以下の3点が骨子となっています。
①医師を除く全職員の給与を3%削減する
②看護師の給与を5%~7%削減する
③医師を除く全職員の給与の調整額を廃止する
この給与の減額が実施されると、50歳の看護師の場合月額で4万3千円ほどの給与が減額されることになります。
病院局では、職員組合とこうした給与削減案について交渉中です。組合員の理解を得て、早期の妥結が望まれています。
参考:茨城県病院局のHP
ボーナスを支給したら資金シュートになった、というのは民間企業では考えられません。
そもそもボーナスは、会社が儲かっているから出すものではないのですか?
これでは、話があべこべです。
冬のボーナスは、一律カットすべきです。