10月30日、一連の高等学校の必修科目の履修漏れ事件で、茨城の県立佐竹高校の校長が、責任を感じて自殺しました。31日、亡くなった校長の遺書が、親族の同意のもと公表されました。遺書は、A4判の原稿用紙に手書きされており、日付やあて名はありませんでした。「お願い」と題し、前半は、「生徒の調査書、成績表について生徒に瑕疵(かし)はない」として、生徒への配慮を県教委に要望する内容となっています。後半では、未履修科目のある3年生のクラスの生徒に対し「迷惑をかけるが学校から出される補習日程に従い補習を受けるようお願いする」と、生徒へ冷静な対応を望む思いが記されています。最後に「右願い、一命を副えてお願い致します」という一文と署名がありました。
佐竹高は3年生80人に世界史A、理科基礎の2科目計4単位の履修漏れがありました。
高等学校の教育課程編成表の作成責任は校長にあり、佐竹高校の校長はその責任をとる形でとる形で、死を選びました。しかし、亡くなった校長は今年4月に就任したばかりで、履修逃れのカリキュラムを作成したのは前任校長だったことを考えると、その選択に疑問を感じざるを得ません。
学校は社会で強く生きぬく姿勢を生徒たちに教える場でもかると思います。その意味では、絶対に行ってはいけない選択をしてしまったことになります。
「生徒に瑕疵はない」、この言葉はその通りの言葉です。国は、この訴えを真摯に受け止め、現在70時間の履修で単位を認めることを検討中のようですが、さらに時間を短縮して50時間程度で卒業を認めるよう、救済措置を早期に決めるべきです。
必修逃れの補習授業、上限70回で弾力運用…文科省
文部科学省は11月1日、高校の必修逃れ問題で、高校3年生について、補習授業の上限を70回(1回50分、2単位分)とすることを基本に、必要な補習授業が70回超の場合、70回の補習とリポート提出、70回以下の場合、学校現場の裁量に任せ、実質50回程度の補習を行えば、卒業出来ることとしました。
(2006年11月1日22時22分:読売新聞のHPより)
お願い
一、生徒の調査書、成績表については、生徒に瑕疵はありません。生徒に不利益にならないご処置をお願いいたします。
二、三年四組、五組の皆さんには、迷惑もかけますが学校から出される補修日程にしたがって補習を受けるようお願いいたします。
右願い、一命を副えてお願いいたします。