10月31日、公明党の浜四津敏子代表代行と斉藤鉄夫政務調査会長、党ドクターヘリ全国配備推進プロジェクトチームの渡辺たかお座長は、ドクターヘリを全国に普及するため、党としての法案要綱を発表しました。
法案の名称は「救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の提供に係る体制の確保に関する法律案」。救急医療用ヘリコプターとはドクターヘリのことで、医師が搭乗して傷病者のいる現場に急行し、医療機関に搬送する間にも必要な医療を提供できるヘリコプターを意味します。
ドクターヘリは救命率の向上に大きな威力を発揮することが知られており、1970年から世界に先駆けて導入したドイツでは、その後20年間で交通事故による死亡者数を約3分に1にまで減少させました。しかし、日本での導入は一部の道県にとどまっています。
普及にとって最大のネックになっているのが各県の財政難で、ドクターヘリを全国配備するためには、財源を含めた体制確保のための法整備が求められています。
焦点の財源確保について、現行の事業が公費(国と都道府県が折半)のみで賄うのに対し、党の法案要綱は国の補助に加え、移送にかかる費用への保険(健康保険、労災保険、自賠責保険)適用、寄付を受け付ける基金からの助成金によって、各県の財政負担を大幅に軽減し、全国配備に弾みをつける内容となっています。
茨城県は北総病院のドクターヘリを共同運行
茨城県は、千葉のドクターヘリの共同運行を要請し、平成16年度から共同利用を開始しています。千葉県に隣接する茨城県南部地域には高次救急医療機関がないため、重症患者については、これまで土浦市、つくば市、場合によっては千葉県内の救命救急センターへ40分以上かけて救急車で搬送されていました。
この地域はドクターヘリを運航している日本医科大学付属千葉北総病院の救命救急センター(千葉県印旛郡印旛村)に近く、ドクターヘリの有効範囲とされる50km圏内にあたります。
そこで茨城県では、三次救急医療体制の充実をはかるため、県境を越えてドクターヘリを出動させることを千葉県側に要請、両県で検討と調整を重ねた結果、ドクターヘリの共同利用を実施して、有効性を検証することになりました。
運航範囲は霞ヶ浦と北浦周辺の鹿行地方広域、鹿島南部地区、稲敷地方広域の3消防本部19市町村とし、搬送先は茨城県内にあるヘリコプター発着施設を有する医療機関。具体的には筑波メディカルセンター病院、水戸赤十字病院、取手協同病院、行方地域総合病院などです。
茨城県は経費負担として、1回約15~20万円程度(出動実績により算定)の負担金を支払っています。そのため年間約50回程度の出動を見込み、約1,000万円の予算を計上しています。
反面、三次救急医療体制の整備が遅れている県北地域が、このドクターヘリの運用範囲からはずれていることが大きな課題となっています。水戸を中心とする50km圏内にドクターヘリが活動できる体制整備が強く望まれています。