職員数半減、市長らの給与は6割カット
地方自治体の実質的な破産状態である財政再建団体となった北海道夕張市は、11月14日、「財政再建の基本的枠組み案」を公表しました。
それによると、市が返済しなければならない借金の総額は、市の標準財政規模の8倍にあたる約360億円と見込まれます。返済期間は「約20年」で、過去財政再建団体となった地方自治体では最長となります。
経費の抑制の面では、職員数を平成21年度当初までに半減し、人口の減少に沿ってさらに削減を進めるとしています。職員給与や手当は、全国の市町村の最も低い水準にするとし、市長などの特別職給料は60%削減。一般職給料は、平成19年度から平均で30%削減します。期末・勤勉手当は当面2か月分削減します(約6割程度の減額となります)。特別職の退職手当は、支給しないこととし、一般職の支給月数は段階的に大幅に削減します(H18は57ヶ月ですがH22には20ヶ月とします)。
新規の道路整備も中止、小中学校も各1校に統合
事務事業の見直しに関しては、市民生活に必要な最小限の事務事業以外は、中止・縮小されます。補助金の支出は原則取りやめとなります。新規の道路整備などの投資的事業は、学校統合に伴う事業など真に必要なもの以外は一切中止されます。福祉分野も、市独自の福祉サービスは廃止されます。集会施設、体育施設等の各種公共施設も、必要最小限のものを除き休止又は廃止されます。平成19年度から市内5箇所の連絡所はすべて廃止されます。現在7校ある小学校及び4校ある中学校は、統廃合が進められ、平成22年度までに各1校になります。
市民の負担も大幅に増加します。市税については、法令上の上限の税率等が適用され、施設使用料の引き上げ、ゴミ処理の有料化がおこなわれます。
具体的には、市民税(個人・均等割)が3,000円から3,500円に。市民税(所得割)が6.0%から6.5%に。固定資産税が1.4%から1.45%に。軽自動車税は現行税率の1.5倍に、それぞれ引き上げられます。
公共施設の使用料は5割引き上げられ、ゴミ収集も有料化されます(家庭系混合ごみは2円/リットル、粗大ゴミ20円/㎏)下水道使用料も1,470円/10m3から2,440円/10m3と1.6倍の引き上げとなります。
また、この計画に則り18日には、9月以降の給与を市長で50%削減するほか、職員給与も15%カットすることを盛り込んだ給与改正条例案を可決しました。さらに、後藤健二市長は2005年度決算で不適切な会計処理があった責任を取り、9月分の給料に限って80%減額の17万2400円とするとしています。
今回の措置は市長ら特別職と職員に加え、市議会議員の報酬も対象となっています。市長の給与は既に3年前から削減しているものに加え、10月分からは改正前の条例上の86万2000円と比べて半分の43万1000円となります。
市議の報酬は31万1000円から24万円に、議長は38万2000円から29万円に減額されます。現行の18を14に減らす予定だった議員定数は、11に削減します。職員らの住宅手当も別の条例で減額しました。一連の措置で来年3月末までに約2億8700万円の経費を削減します。
決算上は表に出ない年度内の返済を前提とした借り入れ(一時借入金)を繰り返した自転車操業の結果、負債残高が632億円までに膨れあがった夕張市。本来、そうした違法な会計処理をチェックする役割がある市議会も、借入限度額の引き上げを容認し、年度の決算を承認していた責任は、きわめて重いといわざるを得ません。
その結果は、住民にとって耐え難い負担増となって降りかかってきました。この経緯を、地方自治に携わる者のすべてが、我が身のことと肝に銘じなくてはなりません。