「がんにならない、負けない」県づくりを目指す神奈川県で2006年10月に、県立がんセンター内に開設した「がん情報センター」の事業が注目されています。「がん情報センター」は、①電話相談、②がんに関する情報提供――の二つの事業を柱に総合的ながん情報を提供し、がん患者や家族が持つ不安解消に努めるとともに、がんに前向きに取り組めるよう支援しています。
がんは日本人の死亡原因の第1位となっていますが、神奈川県でも1978年以降、死因のトップを占めています。こうした現状から、神奈川県は2005年3月に、「がんへの挑戦・10か年戦略」をまとめ、がんの総合対策をスタートさせました。このうち、重点項目の一つである「産学公共同によるがん臨床研究・情報発信のしくみづくり」を具体化したものが、「がん情報センター」事業です。
電話相談事業は、専用電話回線(045-360-6196)を用意し、平日の午前10時から正午、午後1時から午後3時まで。看護師が担当し、時間をかけて、患者や家族の治療に関する疑問、生活に対する不安などに対してキメ細かに対応しています。開設後の相談件数は、1月19日までに351件に上り、県民からの期待度は高くなっています。
一方、情報提供事業では、県立がんセンターのホームページ内に、「がん情報センター」のページを設置し、神奈川県の地域がん登録情報や県内の医療機関情報を提供しています。
この中で先進的な取り組みとして、特に注目を集めているのが、県内の医療機関における「各種がんの手術件数」の情報です。例えば、「どの病院が乳がんの手術件数を多く行っているか」「身近な病院で、各種がんの手術が何件行われているか」などが調べられます。
治療を受ける病院選びは、患者や家族にとって最大関心事の一つです。がんの部位毎の手術件数を情報提供するメリットは、各種がんの手術件数は病院の実力を見る指標になり、大変重要な情報となります。
国においてても、すべてのがんを対象とした、患者に有益な情報発信の一層の強化が求められていることから、国立がんセンターに「がん対策情報センター」が、昨年度設置されました。
こうした情報の収集・提供のシステムはアメリカなどと比べて、きわめて貧弱であり、一層の充実が求められているところです。
参考:神奈川県内のがん診療連携拠点病院、公的病院などの診療の情報
参考:国立がんセンター「がん対策情報センター」のHP