3月6日の県議会代表質問で、公明党の足立寛作議員は、市町村合併における議員の在任特例にふれ、知事の所見を質しました。
在任特例は、市町村合併の際、議員が任期を残して失職することによって、合併へのハードルとなる事を避けるために設けられた制度。新設合併の場合は最長で2年間、編入合併では編入先の議員の残任期間中、議員在任を特例的に認めています。しかし、県内では昨年(06年)、城里町、桜川市、常陸大宮市、常陸太田市の4市町議会が住民の直接請求で実施された住民投票で解散、また、笠間市議会が自主的に解散してい、新たな議会選挙が実施されました。
その中で、昨年8月に住民投票で解散した桜川市の元・現職市議7人が、合併特例法などに住民の議会解散請求を制限する規定がないため、議員の地位を失ったとして、国を相手取って損害賠償訴訟を起こしました。国側は答弁書で、在任特例は「一定期間、議員の地位を存続させる選択を認めたにすぎず、在任期間中に解散請求が行われたとしても議員の身分を失わない保障をしているものではない」と主張しています。
足立議員の質問に対して、橋本知事は、「議員の中には本来の任期を残しながら大所高所から合併に協力された方々も数多くおられることや、在任特例の趣旨を考えると、合併協議会で合意した在任特例を反故にするような住民投票による解散が相次いだことが、今後の合併推進に何らかの形で影響を与えるのではないかと懸念している」と述べました。そして、特例期間後の議員数の大幅減や、合併そのものによる行財政面の極めて大きな効果を指摘した上で、「(市町村合併を)在任特例を適用してもぜひとも推進すべきであると考える」と強調しました。と同時に、現行の在任特例の趣旨や合併の効果を住民に十分説明する必要性もあるとしました。
市町村合併に在任特例の活用は、必要不可欠なものとも言えます。しかし、その適用については、合併協議会や住民説明会等でしっかりと住民の合意を形成する必要があると考えます。
現行の法体系下での桜川市議らの訴えは個人的には納得できませんが、在任特例を選択した場合の議員の身分保障について、法的見直しも必要かもしれません。