5月19日、発表された公明党の参院選用マニフェスト第1弾「命のマニフェスト」の中で、公明党はドクターヘリの全国配備を公約として位置づけました。
ドクターヘリは、救急医療に必要な機器を装備し、医薬品を搭載したヘリコプターです。医師が直ちに搭乗可能な救命救急センターなどの中核病院(全国10道県11カ所)に配備されています。
ドクターヘリの利点は、迅速な治療による救命率の向上です。医師と看護師が搭乗するので、救急現場に到着した段階から、救命救急センターに搬送するまでの間、患者へ適切な治療を施すことができるので、一刻を争う場面では大変頼りになります。重症化を避けられる可能性も高まります。
実際に、ドイツではドクターヘリを導入したことにより、アウトバーン(高速自動車道)で発生した事故による死亡率が大幅に減少しています。また、災害発生時での実効性ある救急医療の確保も期待されます。
ドクターヘリが全国配備され、日常的に活用されるようになれば、災害発生時でも、効果的に救急医療を提供することができます。
今、国会ではドクターヘリの全国配備を推進する法案が審議されています。最大のポイントは、法案の目的に明記されている「良質かつ適切な救急医療を効率的に提供する体制の確保」です。
救急医療格差を是正するためにも必要なドクターヘリ配備
医師の偏在などで医療の格差が社会問題化していますが、救急医療も例外ではありません。都市部では医療体制が整っていますが、地方、特に僻地では十分な救急医療を受けられません。これを改善するためにも、公明党が主張し、この文言を盛り込みました。
ドクターヘリの事業は、厚生労働省の所管で、実際に導入するのは都道府県ですが、財政的に厳しいため、導入できない自治体があります。このため、法案では、基金による助成を新たに設け、自治体の導入へ大きく道を開きます。
加えて法案では、ドクターヘリの配備を効果的に促進するため、国の基本方針を踏まえ、都道府県が医療法に基づき医療計画にドクターヘリの確保に関する事項を定めるよう、努力義務も課しています。
茨城県のように医師の数が少なく、可住面積が広大な地域では、救急医療に関する地域間格差が深刻な問題であり、ドクターヘリの導入はその格差是正に非常に有効な手法です。
また、法案の付則では、施行後3年を目途として、医療保険等の適用を検討する趣旨を明確にした文言が盛り込まれました。これによって、将来、医療保険が適用されるようになれば、自治体のさらなる負担軽減も期待されます。
日本医科大付属千葉北総病院(千葉県印旛郡印旛村)
東海大附属高度救命救急センター(神奈川県伊勢原市)
佐久総合病院(長野県佐久市)
順天堂大附属静岡病院(静岡県伊豆の国市)
聖隷三方原病院救命救急センター(静岡県浜松市)
愛知医大附属病院(愛知県愛知郡長久手町)
和歌山県立医大附属病院(和歌山県和歌山市)
川崎医科大附属病院(岡山県倉敷市)
久留米大学病院高度救命救急センター(福岡県久留米市)
国立病院機構長崎医療センター(長崎県大村市)