7月9日、日本に永住帰国した中国残留孤児への生活支援を図るため、自民・公明の与党プロジェクトチームは、具体的な支援策を正式に決定しました。
それによると新たな支援では、現在は3分の1しか支給されていない老齢基礎年金を満額(月6万6000円)支給し、生活支援の給付金を単身世帯で月額最大8万円を上乗せすることにしています。医療、介護、住宅の費用も国が負担するとしています。現在、生活保護を受けている孤児には、新たな給付金を含め単身世帯で月額最大14万6000円が支給されることになります。
新支援策では収入を調査して給付額を差し引く収入認定手続きを採用しているため、孤児側から「自分で働いて得た厚生年金が減額されるのは不公平」「生活保護と何も変わらない」などの反発が出ていました。そのため、公明党は「帰国した孤児の皆さんに、心から感謝してもらえる支援でなければ意味がない」と再検討を強く求め、最終的には、満額支給の基礎年金を収入認定から除外し、厚生年金や勤労収入の3割を収入認定の対象としないことになりました。
さらに、国に損害賠償を求め各地で提訴している中国残留孤児訴訟の原告の訴訟に必要な印紙代(総額約2億5000万円)の支払いを免除する立法措置を講じることも決定しました。
政府は関連法案を秋の臨時国会に提出、早ければ来年1月から実施することにしています。
孤児の原告側はこれを評価し、10日夕の記者会見で訴訟を取り下げることを表明しています。
戦中戦後と劣悪な生活を強いられた残留孤児たちに対して、ようやく国の支援策が動き出しました。一刻も早い法律の成立を期待すると共に、孤児たちの尊厳を最大限に尊重する制度の運用を、今後とも強く求めるものです。
(写真は、中国残留孤児訴訟の全国連絡会の代表らと新支援策の決定を喜び合う公明党の浜四津代表代行ら:公明党のHPより)