公明党茨城県本部では、石井啓一県本部代表(衆議院議員)を責任者とする「公明党いばらき農業元気アップ対策本部」を設置。茨城県の農業活性化を目指し、調査提案活動を行って行くことになりました。
茨城農業は、これまで広大な農地と温和な気候、首都圏の大消費地に近いという恵まれた条件のもと、全国有数(平成18年農業生産高では、北海道、鹿児島県に次いで全国第3位)の農業県として発展してきました。
しかし、消費者のニーズに合った商品作りや産地づくり、販売戦力の確立への取り組みなどは、他県に比べて立ち遅れていると認めざるを得ません。
その上、国が進める農業構造改革は、多くの農業者の間で納得や協力が得られる内容ではなく、改革の枠外に取り残される危惧がある小規模農家や高齢農家に不安が募っています。
「公明党いばらき農業元気アップ対策本部」では、こうした現状を地域や生産物ごとに詳細に調査し、具体的な提言をまとめる予定です。
また、「公明党いばらき農業元気アップ対策本部」の初回の意見交換では、次のような実態が話題となり、その対応策を今後検討することになりました。
●品目横断的経営安定策の対象農家は全体のわずか2.2%
平成19年産の品目横断的経営安定策の加入申請者数は1461(認定農業者1362と集落営農組織99)であり、これは県内農業者数67,000からすると、わずか2.2%に過ぎません。大多数の農家にとって、小規模農家の切り捨てにつながるのではとの不安の声が上がるのも当然です。
茨城県は、小規模農家や高齢農家、兼業農家へのきめの細かい情報提供や政策実行に特に力を入れるべきです。
●収穫量や品質により格差が拡大
品目横断的経営安定策では、麦と大豆においてゲタ対策、いわゆる諸外国との生産条件格差から生まれる不利に対する補填が行われます。
麦の場合、昨年までは農家の販売収入1843円(60キロ当たりの平均額)に対して、麦作経営安定資金7250円の公的資金が投入されていました。
一方、品目横断的経営安定策においては、過去の生産実績に基づく支払い(緑ゲタ部分:補填の約7割)と当該年の生産量・品質に基づく支払い(黄ゲタ部分:補填の約3割)で、約6400円(試算値)が補填されることになります。
制度上は、大きな変更が見られないようですが、実際の運用では、生産性や品質によって補填額に大きな差が生ずることなります。
例えば、過去の生産実績に基づく支払いの基準(緑ゲタ)は、実際に生産された収量ではなく、10アール当たり377キロの収量を基準とした作付け面積で計算されます。単位当たりの収穫量が多い農家に対しては、実際の耕作面積以上の補填がなされますが、逆に単位収穫量が少ない農家は、実際の耕作面積よりも補填額が少なくなってしまいます。
また、黄ゲタ部分は、品質によってその額が大きく違ってきます。麦の場合は1等Aランクの場合60キロ当たり2110円となっていますが、2等Dランクになると242円と一桁低い設定となっています。
こうした効率や品質によって格差を付けることは、米の転換作物として水田で麦を作る農家などの耕作不適地での生産者にとって、大変厳しい政策です。麦や大豆に特化して農業を行う大規模農家が少ない茨城県にとっては、農村に不満の声が高まっています。