今こそ「国民生活に重きを置いた政策の実現」を
10月4日の衆院本会議で、公明党の太田昭宏代表は、福田康夫首相の所信表明演説に対する代表質問を行いました。太田代表は、「日本の政治・経済は正念場」を迎えているとして、今こそ「国民生活に重きを置いた政策の実現」が迫られていると強調。地域活性化をはじめ救急医療体制の整備や高齢者医療、少子化対策、雇用など、構造改革、景気回復の恩恵に必ずしも浴していない国民が直面する課題について、国民に「勇気と希望」をもたらすとの視点から具体策を提示しました。
衆院では与党が多数を占める一方、先の参院選の結果、参院では野党が過半数を握りました。こうした状況では、衆院では政府・与党の法案が可決され、参院では民主党など野党提案の法案が可決されたままで対峙が続く事態も予測されています。しかし、国民のための施策実現こそが政治の使命であることを考えれば、国民生活をないがしろにするような「政治の停滞」は許されません。
こうした観点からは、衆参が“ねじれ”た国会の現状では、与党のみならず、野党も等しく国民に対する大きな責任を負っています。国民の負託を受けた国会議員としてどのような行動を取るのか、今後の国会運営には、国民の厳しい視線が向けられていることを忘れてはならず、太田代表は質問の中でこの点を、「国会には、実りある論戦と結果を出す責務がある」と強調しました。
この臨時国会で、まず与党と野党が対峙するのは、インド洋上で海上自衛隊が行っているテロ抑止のための給油活動の継続問題です。
テロ抑止の活動は、国連の安全保障理事会の決議を踏まえてわが国が実施している活動であり、9月20日に採択された安保理決議では、活動に対する評価と継続の必要性が示されました。国際社会の一員として、いわばわが国の「責任」を果たす行動でもあります。
こうした課題について民主党の鳩山由紀夫幹事長は3日の代表質問で、福田首相がさまざまな課題で与野党協議を提案したのに対し、「談合のような密室協議」と決めつけて拒否する姿勢を示しました。しかし、民主党が参院に提出するとしている法案についても、本当に実現しようと思えば、いずれは何らかの与野党協議が必要になることは自明の理です。
真に「国民のために」というのであれば、むしろ積極的に協議に応じるべきです。やはりここでも民主党の対応は、国民のための政策を進めることより対立を演出するためと言わざるを得ません。
以下、太田代表の代表質問の骨子を公明新聞の記事より掲載いたします。
地域活性化・中小企業
地域の活性化について太田代表は、「地域に必要な財源を確保するための税制改革や予算措置の積極的活用で地域の主体的な取り組みを支援していくことが重要」と訴えました。
一方、中小企業対策については、「中小・小規模企業への手厚い金融支援が必要」として、無担保・無保証の新創業支援制度の拡充などの支援に力を注ぐべきと訴えました。
さらに、「事業承継税制の抜本的拡充が重要である」として、「事業承継の円滑化のための手だてを政策集中させる必要がある」と強く訴えました。
これに対し福田首相は、地域活性化へ、地方再生のための戦略を一元的に立案、実施するための「地域活性化統合本部」を内閣に設置する意向を表明しました。
中小企業対策については、公明党との連立政権合意に基づき、中小金融の強化、徹底的な事業承継の円滑化などで、中小企業への支援を強力に推進していくと答えました。
負担増の緩和
太田代表は、来年4月から70~74歳の高齢者の窓口負担が1割から2割に引き上げられる問題を取り上げ、「少し時間をかけて論議し、その間は窓口負担を凍結すべきである」と強く主張。75歳以上の新たな後期高齢者医療制度についても「保険料徴収を凍結すべき」と訴えました。
障害者自立支援法については「障害児など利用者負担の軽減や障害の対象の拡大など、抜本的に見直すべきだ」と要請。来年4月から母子家庭の児童扶養手当が削減されることについて、見直しの凍結と就労支援の本格的推進を求めました。
高齢者医療制度の見直しについて福田首相は、「与党内での議論を踏まえ、予算措置も含め十分検討していく」と答弁しました。障害者自立支援法についても「抜本的見直しに向け制度全体にわたる論議を行っていく」と約束した。児童扶養手当の見直でも「政権合意を踏まえ十分に検討していく」と前向きな姿勢を示しました。
政治とカネ
「政治とカネ」の問題で太田代表は、自民党と公明党の政権協議において、1円以上のすべての支出に領収書添付の義務付けが合意されたことを評価。その上で、「公開性を高めるため、さらなる改革の実現をめざし、再発防止へ向けて与野党の合意形成を図るべく全力を挙げる」と強い決意を披歴し、「いかに透明性、公開性を高めるか、自民党総裁として率直な意見を伺いたい」と福田首相にただしました。
これに対し福田首相は、民間と政治家の経理報告や監査方法が違うことは国民の理解を得られないとし、「その意味で今回の公明党との合意は国民に理解を得る大きな前進である」と高く評価。再発防止策として、「統一的ルールのもとで、すべての政治家の資金管理をチェックする第三者機関の設置は、十分検討に値する」として与野党間での合意形成を望みました。