10月10日、井手よしひろ県議ら公明党茨城県議会議員団(代表:足立寛作県議)は、土浦市の独立行政法人国立病院機構霞ヶ浦医療センターを訪れ、西田正人院長より女性専門病棟について説明を受け、現地を調査しました。この政務調査には、井手県議、足立県議をはじめ、水戸市選出のたかさき進県議、つくば市選出の田村けい子県議が参加しました。
霞ヶ浦医療センターでは、今年(平成19年)6月に女性専門病棟をオープンさせました。従来、患者が入院する病棟は男女混合で、外科や内科といった診療科ごとに分けられていました。病室は患者にとって寝室であり、病院の廊下は誰もが歩く公道です。このような混合病棟では、公道から寝室が丸見えになってしまうことになり、患者のプライバシーを守ることができません。そこで、少しでも他人、特に異性の目を気にせず入院治療を行うために女性専門病棟が、茨城県では初めて設置されました。
女性専門病棟は、明るいクリームとピンク系の色彩で統一され、男性の面会時間以外の立ち入りが制限されています。当然、トイレやお風呂は女性専用です。専用病棟は今まで内科病棟だった病棟を使い、ベッドは計50床で、その内個室は7床。ナースステーションには、現在19人の看護師が配属されています。
西田院長は、生殖外科領域(妊娠する能力を温存して子宮筋腫・子宮腺筋症や癌の手術をしたり、不妊症例を手術により妊娠させたりする外科)の手術に関して、わが国の第一人者です。こうした婦人科に強い病院の特徴を活かして、大規模な病院が競合する土浦・つくば地域での病院間の競争に生き残ろうとする意図もあります。
女性専門病棟の開設後の8月に病院が行ったアンケートでは、女性専門病棟に入院した27名の患者の内、「もう一度入院すするならば専門病棟がよい」と解答した人が27人と、全員が専門病棟に高い評価を与えています。
「女性専門病棟は、患者さまへのサービスの一環です。最も大切ないのちと健康を守るという医療の本質を常に追求しながら、より質の高い医療の環境をつくっていきたい」と西田院長は、女性専門病棟への取り組みを熱く語ってくださいました。
公明党は、国政選挙のマニフェストに「女性専門外来」の全都道府県での開設を掲げるなど、女性特有の疾病に対応する医療の推進を図っています。今後とも、霞ヶ浦医療センターの女性専門病棟などの取り組みを、積極的に支援してまいります。
(写真下:霞ヶ浦医療センターの西田正人院長。生殖外科領域の手術ではわが国の第一人者です)
参考:国立病院機構霞ヶ浦医療センターのHP
「女性専用病棟」が好評/“男性の目”気にせず安心して治療
公明新聞(2007/10/16付け3面)
男性の目を気にしないで治療を受けられる病棟があったら――。こんな女性患者の要望に応えた「女性専用病棟」が注目されている。通常、病棟は男女混合で、診療科別(内科、外科など)に分けられているが、そうした病院中心の運営ではなく、利用者の視点に立った試みだ。さる10日には、茨城県議会公明党の足立寛作、井手義弘、田村佳子、高崎進の各議員が、今年6月に女性専用病棟を開設した独立行政法人国立病院機構霞ヶ浦医療センター(土浦市)を訪れ、西田正人院長らと女性医療のあり方などについて意見を交わした。
『病院の都合から患者の希望へ』
『茨城・霞ヶ浦医療センター 入院生活のプライバシー配慮』
『県議会公明党が視察』
「女性専用病棟を退院した方へのアンケートでは、ほぼ全員の方が、再入院の際は同じ病棟を希望されています。ケアの面でも満足していただけたのではないかと思います」。一行を案内した霞ヶ浦医療センターの宮本由美子看護師長は、目を細めながらこう語る。
同センターではかつて、男女混合で診療科別に病棟を分けていたが、2003年4月、女性特有の病気や症状に対して、女性医師やスタッフが中心となって対応する「女性専門外来」を開設したことなどもあり、同センターの入院患者の約3分の2が女性だという。
だが、「病室は患者さんの寝室であり、病院の廊下は誰もが通る“公道”。その公道から寝てる姿まで見えてしまうという問題があった」(西田院長)。
そこで、女性のプライバシーを守るという方針で、今年2月に推進委員会を立ち上げ、専用病棟の導入を計画してきた。今年4月には、入院中の全患者と午前中の外来を受診した患者にアンケートを実施。その結果、「女性病棟があれば入院したい」「目的や疾患によっては女性病棟の方が良い」と答えた女性が9割近くに達した。男性も家族が女性病棟に入院することに約7割が肯定的だったという。こうした結果を受け、同センターは、専用病棟の開設に踏み切った。
「病院の都合から患者さんの希望へ」をコンセプト(理念)にした、この専用病棟は、内科病棟だった6階建ての西病棟2階フロアを一部改装して使用。ベッド数は計50床で、入院費や病棟の構造、設備は他の病棟と変わらない。トイレ、浴室は女性専用。
対象となるのは、専用病棟への入院を希望する患者(小児科を除く)だが、病気の種類や重症度によって医師が専門病棟での入院が必要と判断した場合や、大きな手術の前後の管理や急性心筋梗塞、呼吸不全といった集中管理を要する疾患の場合は入ることができない。男性が病棟に入れるのは、面会時間と手術日、退院日など特別な日に限られる。
患者は一日も早く病気を治したいため、治療を優先し、プライバシーの問題は我慢していた面が少なくない。そこに着目したのが女性専用病棟。西田院長は「今後も患者さんの希望に沿って、柔軟に対応していきたい」と話している。
県議会公明党では、同センターの女性専門病院への特化を定例議会で主張するなど、女性医療の充実を推進してきた。
『各地の病院で開設の動き』
『公明も後押し/大分県立病院 心安らぐ「憩いの部屋」も』
『静岡がんセンター 全員が女性スタッフ』
まだ、数は多くないものの、女性専用病棟を設ける動きは各地に広がりを見せている。
大分県立病院(大分市)では2005年4月、本館東病棟(10階建て)の7階部分に専用病棟を設けた。4人部屋や個室などが50床あるほか、病室以外に心安らぐ部屋が欲しいとの要望を受け、「憩いの部屋」を設置した。この部屋は、病状説明などのためのカンファレンス室を利用。看護師が描いた絵画を飾ったり、ソファや図書などを備え、カンファレンス室としての利用が少ない時間帯を「やすらぎの空間」として患者に開放している。同病院によると、患者同士で手芸をしたり、家族などとの会話を楽しむ人が多く、患者のQOL(生活の質)の向上に役立っているという。
同病院への専用病棟の設置については、大分県議会公明党も「術後の姿を男性に見られたくない」などの患者から寄せられていた要望を病院に届けるなど積極的に後押ししてきた。
患者のプライバシー保護を重視する県立静岡がんセンターでは、02年9月の開院当初から、本館最上階の10階フロアに、女性専用病棟を設置した。ベッド数は72床(東病棟30床、西病棟42床)で、個室と2人部屋があり、約半分は個室となっている。主に、婦人科系のがん疾患と乳がんの患者が利用している。入院費は他病棟と同額。看護のスタッフは全員女性を配置している。
同フロアの窓からは富士山をはじめ、天気の良い日は伊豆半島の天城山も望めるなど眺望に恵まれ、病室のカーテンやドアなど随所に柔らかなピンク系の色を使用。女性が落ち着いて過ごせるよう工夫している。
同センターでは、このほかにも患者のプライバシーに配慮したさまざまな取り組みを行っている。例えば、外来についても、女性専用病棟と同じポリシーの「女性センター」を設置し、診察室を1階奥の目立たない場所に配置、隣にマンモグラフィ(乳房エックス線撮影装置)などの検査室を設け、他人の目を気にせず、安心して診察が受けられるようにした。同センター企画広報担当の丸茂江以子さんは「健康な時でもパジャマ姿では男性に会いたくないはず。女性の気持ちと雰囲気に配慮したさまざまな取り組みは、患者さんからも大変に好評」と語る。
また、女性医療を重視する岐阜県総合医療センター(岐阜市)でも昨年11月から、本館8階に女性専用病棟を設置。ベッド数は40床で、産科、婦人科のほか、消化器科や外科の患者らが入院している。希望者による一般病棟との選択制だが、産科、婦人科以外の患者も約6割を占め、「安心して治療に専念できる」などと好評を得ている。