備蓄米を100万トンの適正水準まで積み増し、年内に34万トン買い増し
農林水産省は、10月29日、コメの販売価格低迷に関する緊急対策を発表しました。
先に「コメの販売価格の下落、農家に深刻な影響」(2007/10/27付け)で触れたように、19年度産米の販売価格は、昨年の水準を8%余り割り込む下落傾向を示しており、農家への深刻の影響が懸念されています。
こうした状況に対して、公明党は農林水産業活性化推進本部が生産現場を視察し農家から訴えを聞き、安倍晋三前首相にきめ細かな経営安定化策など7項目にわたる申し入れを行いました。さらに、衆参の農林水産委員会で井上義久副代表と谷合正明参院議員が政府備蓄米の在庫積み増しを政府に迫り、米価下落対策に全党的な取り組みを続けていました。
今回発表された、政府の米緊急対策の主な内容は、(1)政府備蓄米を100万トンの適正水準まで積み増すため、年内に34万トンを市場から買い入れる、(2)全国農業協同組合連合会(全農)は、2006年産米の販売残量10万トン相当を飼料など非主食用に回し、損失分の半分を政府が負担する、(3)08年産米に関し、政府と農協系統が連携し、全都道府県・全地域で生産調整目標を達成できるよう全力を挙げる、(4)消費者が信頼できる米の品質表示や適正な流通を確保する取り締まりの徹底、(5)米の消費拡大のための国民運動を効果的に進める――などです。いずれも公明党の主張を反映したものとなりました。
ここ数年、米価の下落傾向に歯止めがかからず、とりわけ今年度から始まった農業団体等による自主的生産調整システムの下で今年度産米の価格が急落し、稲作農家の経営を直撃しています。政府が「担い手」と位置付けた認定農業者など大規模経営農家に重大な影響を及ぼすだけでなく、小規模農家の経営を不安定にしている現実があります。政府が農政改革元年と位置付け、新システムとともに導入された品目横断的経営安定対策や稲作構造改革促進交付金などの制度が十分に機能しないことは事実で、抜本的な見直しが必要との声が高まっています。
(写真は、公明党の主張が反映された政府の米緊急対策が報告された党農林水産部会:2007/10/30)