原油の高騰の原因で、灯油の値上がりが止まりません。茨城県内の灯油価格は、11月にリッター当たり91.9円と、01年12月に比べて2.9倍に跳ね上がりましたリッター100円の大台越えも懸念されています。
茨城県の灯油1リットル価格 | |
2000年12月 | 37.6円 |
2001年12月 | 31.5円 |
2002年12月 | 35.7円 |
2003年12月 | 33.7円 |
2004年12月 | 43.8円 |
2005年12月 | 59.4円 |
2006年12月 | 62.7円 |
2007年11月 | 91.9円 |
こうした灯油の値上がりは、所得の低い層により深刻な影響を与えます。冬の暖房代の割合が、家計に占める割合が大きい北海道では、「福祉灯油」という制度が各自治体に導入されています。市町村によっては名称が異なり、「福祉灯油制度」のほか「福祉灯油購入費助成(深川市)」「ぬくもり助成金(釧路市)」「老人家庭等福祉灯油代支給事業(幌加内町)」「福祉灯油見舞金」などがあります。灯油代というよりも冬季生活費支給に近いものもあります。
支給対象となるのは低所得世帯。心身障害者のいる世帯や高齢者の世帯、母子世帯も対象となる都市もあります。その他規準も幾つかあります。心身障害者の世帯と高齢世帯は同じ量が支給され、母子家庭はそれよりも少ないこともありますし、同額の場合もあります。上限が1万円までとされていたり、交付世帯は全て3000円、4000リットルを、150リットルを、などさまざまです。
この制度は1974年に北海道が設置した制度です。最初の頃は、「3000円助成券(500円灯油券6枚)」といったものを交付していました。1998年度に、北海道としては制度を廃止し、市町村単位で制度を引き継いで行うようになっています(71市町村が実施)。
12月4日、盛岡市で開かれた公明党の政経懇話会で、太田昭宏代表は、原油高騰によってガソリンや灯油などの小売価格が上がり、国民生活や中小企業に深刻な影響を及ぼしている現状を指摘。12月3日に福田康夫首相あてに、中小小規模企業への対策や高速道路料金の引き下げなどを内容とする原油高騰問題に対する緊急申し入れを行ったことを紹介しました。
その上で、原油高から庶民の暮らしを守る施策として「『福祉灯油』という考え方に立ち、地域政策補助金の形で、安定した灯油の供給ができるよう支援策を展開し、家も暖かい、心も温かいという政策の実現に頑張る」と、国を挙げた「福祉灯油」制度の導入を提案しました。
低所得者に灯油代補助 政府が原油高対策
中日新聞(2007/12/5)
政府は12月4日、福田康夫首相の指示を受け、緊急原油高対策の本格検討に入った。対策は寒冷地の低所得者に灯油代を補助したり、燃料価格の上昇で経営環境が悪化している中小・零細企業を支援するため政府系金融機関の返済を猶予する案が柱で、景気の下支えを図る。
自民党の原油高対策なども取り入れ、来週前半までに具体策をまとめる。2007年度補正予算を活用して早急に実施する構えだ。ただ、財政難に苦しむ政府にとって、大規模な資金拠出は難しく、効果が限定的な対策にとどまる可能性もある。
消費者向けの対策では、母子家庭や高齢者世帯に灯油の割引券や代金の一部を支給する北海道の「福祉灯油制度」を参考に、年収が一定以下の人を対象に国や自治体が灯油代の一部を補助する案を検討する。