障害者自立支援法施行に伴い平成17年度に公営住宅法施行令が改正され、精神障害者や知的障害者も県営住宅や市営住宅などに単独で入居出来るようになりました。
しかし、茨城県の県営住宅には、今日(2008/6/24)現在、精神障害者や知的障害の単独の入居要件は示されておらず、実際の入居は出来ない状況になっています。
このような状況の中、井手よしひろ県議には、「なぜ、茨城県は国の定めた指針通りに障害者を持つ者の単独入居を認めないのか。すでに、他県においては多くの地方自治体が単身入居を認めている。結果的に障害者の差別になるのではないか」との、ご意見が寄せられました。
このご意見をキッカケに井手県議は、県土木部住宅課に対して、「精神障害者・知的障害者の県営住宅への単身入居に関する見解」を求め、早期の入居要件の改正を強く要望しました。
県住宅課は6月19日、「精神障害者・知的障害者の県営住宅への入居について」との見解を示し、「夜間を含め、緊急に対応が必要となる場合における相談や医療機関等への連絡を行う住宅入居等支援事業(自立支援法に位置づけられた任意事業)が、県内市町村で実施されていない現状では、単身入居は認められない」との当面の措置を明確にしました。
確かに単身で生活する精神・知的障害者のサポート体制なしには、公営住宅の入居を認めることは、様々な観点から総合的に検討しても難しいと思われます。当面は、各市町村毎に「住宅入居等支援事業」の立ち上げを図ると共に、支援体制の充実を図る必要性を再確認しました。
ご参考のために、県住宅課による「精神障害者・知的障害者の県営住宅への入居について」(2008/6/19付け)を全文掲載いたします。
参考:茨城県の県営住宅の入居基準
住 宅 課
1.公営住宅法施行令による規定
精神保健福祉手帳又は療育手帳の交付を受けうる程度の障害者は、単身入居ができる旨規定している。
一方、ただし書きで.「精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とし、かつ、居宅においてこれを受けることができず、又は受けることが困難であると認められる者を除く。」と規定しているため、単身入居できるのは自立可能な者又は常時介護を受けることができる者である。
なお、国土交通省通知(H17.12.26住宅局総務課長通知)により、「精神障害者及び知的障害者については、常時の介護を必要としない場合であっても常時の相談対応や緊急時における医療機関等への連絡等の当該障害者に係る居住支援が必要なことから、事業主体は、市町村等の福祉主管部局に対し、当該居住支援体制の状況を確認の上行うものとする。」とされている。
このことから、県営住宅への単身入居を認めることができるのは、自立可能で市町村の支援が受けられる者又は居宅において常時介護を受けることができる者である。
2.市町村の支援体制について
障害者自立支援法で市町村の責務として規定されている自立支援給付等は実施されているが、夜間を含め、緊急に対応が必要となる場合における相談や医療機関等への連絡を行う住宅入居等支援事業(任意事業)は財政等の理由により県内市町村では現在のところ実施されていない。(障害福祉課調べ)
3.当面の措置
精神障害者及び知的障害者が単身で生活する場合、不測の事態が起こる可能性があるため、市町村の支援体制が確立されていない現状にあっては、単身入居を認めることは、精神障害者及び知的障害者にとって、好ましいことではないと思われるので、単身での入居は認められない。
4.今後の要検討事項
(1)福祉部局等と次の事項について検討する。
①精神障害者及び知的障害者の単身入居の入居者資格(自立可能)の認定方法
②単身入居を認めることができる市町村等の支援措置内容の基準
(2)県営住宅管理者としての対応の検討
不測の事態に対して、県(住宅課)及び指定管理者である茨城住宅管理協会がどの程度障害者支援を行うことができるのか或いはできないのかについて検討する。
5.今後の展望
上記4に併せて、居住支援体制の整備に努めるよう、福祉部局を通じて市町村に働きかけていく。