出産育児一時金:都市部で増額 健診補助も拡充--厚労相意向
毎日新聞(2008/8/23)
舛添要一厚生労働相は22日の閣議後記者会見で、医療保険から妊婦に支払われる出産育児一時金(一律35万円)について、09年度から出産費用が高い都市部などで増額することや、妊婦が立て替え払いをしないですむよう徹底する考えを示した。少子化対策として5回分を支給している妊婦健診の国の補助を、14回分に増やす意向も明らかにした。
出産費用は、大都市では50万円程度かかるケースがある一方、35万円を下回る地域もある。このため、出産育児一時金を一律支給から実費補助に変え、実質的に都市部などで拡充することを検討する。ただ、実費が35万円を下回る地域では差額が妊婦に支払われており、妊婦の「手取り」が減る可能性もある。また、出産育児一時金のうち、出産にかかった費用については直接病院に支払うよう医療保険側に義務付ける。
妊婦健診の補助は、地方交付税で自治体に配分している。妊娠から出産までの望ましい健診回数は14回程度とされており、同省はこの水準まで交付額を増やしたい考えだ。約840億円の財源を要するため、年末の09年度予算編成過程で検討する。
公明党の強い主張で、舛添厚労省が検討を表明

出産育児一時金は、公明党が2005年の衆院選マニフェスト(政策綱領)で「30万円から50万円への拡充」を掲げて推進してきました。06年10月から現在の35万円に拡充された実績があります。舛添厚労相は「東京では50万円近く費用が掛かる」と地域の事情を考慮する考えを表明。また、「妊産婦が病院にお金を払うのではなく、国から病院に自動的にお金が回る仕組みを考えたい」とも述べました。
一方、妊婦健診について、出産までに14回程度の健診を受けるのが望ましいが、現在、国が地方交付税で措置しているのは5回相当分。健診は1回5000~1万円かかり、経済的負担が重いことから、厚労相は最大14回まで財政措置を増やすことも検討する意向を示しました。
子育て支援策の拡充で公明党は8月7日、厚生労働部会が厚労相に対し、09年度予算概算要求に向けた重点要望で「出産育児一時金の更なる増額措置」と「妊産婦健診の公費助成回数の拡大」を要望していました。(写真はその時の模様)