議会傍聴、規制を強化 ブログで批判契機
朝日新聞(2008/9/4)
県議会での議員の言動がブログ(インターネット上の日記)で批判されたことが契機になり、議会の傍聴規則が3日改正され、規制が強化された。必要と認められると傍聴希望者は身分証の提示を求められ、写真撮影や録音の許可が下りにくくなった。全国の都道府県議会で身分証明書の提示を求める傍聴規則は初めて。ブログは情報の発信手段として近年重要視されていることから、一部県議からは撤廃を求める声も上がっている。
都内在住の男性が作成するブログが問題視された。男性は茨城空港をテーマに多数の記事を掲載、傍聴した6月定例県議会も取り上げた。常任委員会などでの県議や県幹部の言動について論評し、居眠りする県議の写真を載せた。
ブログを見た一部の県議が「傍聴目的として適切なのか」と声を上げ、傍聴規則改正の動きが出始めた。議会事務局によると、男性は「資料のため」という目的で本会議の撮影許可は得たが、常任委員会については許可申請していなかったという。
改正規則では、傍聴者による写真撮影や録音は、県政記者クラブ所属の報道関係者と「公益的見地から必要と認められる者」に限定。後者は市町村の広報担当者や会派関係者を念頭に置いている。
新規則に従うと、「資料のため」という目的で男性がカメラの持ち込みや撮影を希望しても、「今後は『許可できない』として処理する」(議会事務局)という。
「公益的」の定義については、規則改正について議長報告があった議会運営委員会内でも異論が出た。自身もブログを積極的に活用している公明党の井手義弘県議は「世界に向けて主張するブロガーもおり、時代は変わってきた。特定の議員を非難することが公益的な議論に反しているかどうかはわからない」と語り、議長が「公益」を判断することに疑念を呈した。
改正規則には「議場の安全確保」を目的に、必要があれば傍聴希望者に免許証などの身分証明書の提示を求めることも盛り込んだ。事務局は「身分証明書を確認することはめったにないと言っていい。傍聴を制限するものでは一切なく、極めて限定的に運用する」と説明する。
地方自治法は「会議公開の原則」を定めており、本会議の傍聴や報道の自由が認められている。大内久美子県議ら共産党は、規則の改正について「情報公開の流れに逆行する」と主張し、自由を最大限保障することや、住所・氏名の記入や物品の携帯などの規制撤廃など規則の抜本的な規制緩和を求めている。
傍聴規則の改正は議長提案で報告され、出席議員の採決なく改正が決まった。8日から施行される。
男性は傍聴規則改正について、「インターネットに違和感を持つ世代の人もいると思うが、今回の県議会の対応は旧態依然としたものだと思う」と語り、今後も議会の傍聴とブログでの紹介を続ける考えを示した。

県議会傍聴規則は、地方自治法第130条3項「(略)議長は、会議の傍聴に関し必要な規則を設けなければならない」との条文により、議長によって決められています。したがって、傍聴規則は議長により決められ、議会運営委員会には採決する権限はありません。
井手県議は、議会事務局に対して「もし、議長が指摘した不適切な写真を公開した本人が、再度傍聴に訪れ、傍聴の申請を出した場合はどのような対応をするのか」と、具体的な運用について質問しました。事務局は「撮影を許可することは出来ない」と明言。これに対して、井手県議は、「今時代は大きく変わっている。世界に向けて主張するブロガーもおり、時代は変わってきた。特定の議員を非難することが公益的な議論に反しているかどうかはわからない。傍聴制限の運用に対しては、慎重に対応してもらいたい」と発言しました。
この議会傍聴規定の改正には2つの問題があります。一つは、傍聴券を必要としない傍聴者を県政記者クラブに加盟する各社の記者に限ったことです。従来の規則では、「第4条 会議を傍聴しようとする者は、傍聴券の交付を受けなくてはならない。ただし、報道関係者であって、あらかじめ議長の承認を受けた者はこの限りでない」となっていました。改正傍聴規則では、現状全てが県政記者クラブ加盟各社の記者であるとして、「報道官関係者(県政記者クラブ加盟各社に限る。以下同じ。)」との括弧書きをあえて加えました。マスコミないにも記者クラブ制度の是非に対して議論がある中で、この改正には疑問が残ります。
もう一点が、「写真、ビデオ等の撮影及び録音等の禁止」の規定です。今までは、「第12条 傍聴人は、傍聴席において写真、ビデオ等を撮影し、又は録音等をしてはならない。ただし、議長の許可を得た場合は、この限りではない」となっていました。撮影の申請さえすれば、原則許可されてきたわけです。しかし、今回の改正では「第12条 傍聴人は、傍聴席において写真、ビデオ等を撮影し、又は録音等をしてはならない。ただし、報道関係者又は公益的見地から必要と認められる者であって、議長の許可を得た者については、この限りではない」と改正されました。県政記者クラブに加盟しているマスコミ関係者か公益的見地から必要とされるものとして例示される者(政党、会派、議員の後援会関係者、自治体関係者などを別途明示することになっています)以外は、写真撮影、ビデオ撮影、録音などが原則出来なくなります。
インターネットの普及、情報公開の拡大という社会の大きな潮流に対して、全く逆行する傍聴規則の改正としかいいようがありません。今後も、機会を見て規則の再改正を求めていきたいと思います。
(写真は、平成19年9月議会での井手県議の代表質問の模様。事前に議長許可を取り、写真・ビデオ撮影を行っています)
寝る権利の主張ですな
議院内閣制の国会とはワケが違うんです
茨城県の財政でも、今回の空港問題でも寝ている暇があるとは、議席を与えている県民の方が大いに驚きです
マンモス掲示板
【社会】ブログに逆切れ? 居眠りする県議の写真を載せられたことなどを問題視 茨城県議会が傍聴の規制を強化★2
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1220508793/l50
からきた他県民(西日本)です。貴ブログを拝見するまではもしかしたら公明県議はこのことについて頬かむりではないかとの懸念が心の片隅にあったことを謹んでお詫び申し上げます。
今後の進展に注目しております。
当然ながら卓見です。今後ともたとえ相手が権力の魔性にどっかり使った毀誉褒貶集団であっても本来の公明らしい厳格な是々非々を貫き通してくださいませ。
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これに対して、井手県議は、「今時代は大きく変わっている。世界に向けて主張するブロガーもおり、時代は変わってきた。特定の議員を非難することが公益的な議論に反しているかどうかはわからない。傍聴制限の運用に対しては、慎重に対応してもらいたい」と発言しました。
今回の一件を地元紙の茨城新聞がどのように伝えているか、興味を持ってWEBサイトを覗いてみました。
http://www.ibaraki-np.co.jp/main/main.htm
なんと!、一言も触れられていませんでした。
(県議会だより、週間ニュース、Daily Newsをチェック)
賛意・反論はともかくとして、事実すら報道していない。「WEB版だから」だとすれば、よけいに病状は深刻ですね。
邪推すると、長年の蜜月関係により、地元紙として特別の取材権を得ているから、一般人民が自由に密室(議会など)を覗いて状況・感想を発信されては、「商売あがったり」になってしまうとでも思っているのでしょうか?
それとも、どのようなタッチで書こうか、各所の反応を考慮して、「長考」中なのでしょうか?
このまま沈黙し続けるようなら、マスコミとして失格ではないかと感じました。
今回のニュースには愕然とさせられました。彼の地で生まれ育った一人として本当に恥ずかしく思います。
茨城はただでさえ政治後進県と感じているのに(これには異論があるでしょうが)、こんな状況では全国から笑いものにされてしまいます。
是非党の垣根を超えて、意識の高い議員の皆さんでこのような愚かな規制は撤廃するよう努力していただきたいと思います。私は現在茨城に住んでいませんので陰ながら応援することしかできませんが、「茨城にもネットに理解のある政治家はいるんだよ」ということを示して下さい。
最後に率直な指摘をされているブログ記事のリンクを貼ります。特にGIGAZINEは非常に人気の高いブログで、多くのネットユーザがこのニュースに注目しています。
・居眠りしている議員の姿をブログに掲載された茨城県議会、傍聴規則を改正して締め出しへ – GIGAZINE
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20080904_ibaraki_blogspot/
・H-Yamaguchi.net: 適切な傍聴目的ではなかろうか
http://www.h-yamaguchi.net/2008/09/post-a36b.html
一度傍聴したときの感想。
・ずいぶん議員席までの距離が遠く、議員や答弁者の表情が読み取りにくかった。
・議員席で下を向いたり、資料(らしきもの)に目を通したりしている議員の「白黒」を判定できず。
・議長席の背中が異様に高いのが目についた。何だか権威的すぎるようにも感じた。(今回の強圧的な措置と無関係であればよいのですが)
「県議や県幹部の言動や、居眠りする県議の様子を多くの人が知る」という方向に逆行する制度には反対です。
一部の(過激な?)人にあばかれるのがイヤなら、多数のカメラによるありのままの議場中継等により、「議員たちは真剣に討論している」ことを発信すればいいじゃないですか。
「傍聴人は議員にとってのカスタマー(顧客)代表である」との視点から今回の議論を続けていってほしいと思います。