内閣府が9月8日発表した8月の景気ウオッチャー調査によると、街角景気(現状判断指数)は5カ月連続で低下し、2000年1月の調査開始いらい2番目の低さとなりました。景気の減速感が一段と強まるなか、雇用情勢の悪化が懸念されています。
厚生労働省が8月29日に発表した7月の有効求人倍率(季節調整値)は0.89倍と前月を0.02ポイント下回り、2004年10月いらいの水準まで落ち込んでいます。有効求人倍率は、全国の公共職業安定所(ハローワーク)に申し込まれている求職者数に対する求人数の割合で、失業率と並び雇用状況を示す指標になっています。
7月の完全失業率は4.0%と、前月より0.1ポイント低下したものの、厚労省は「失業率のトレンドは上昇傾向。雇用情勢は引き続き注意を要する」との基調判断を据え置いています。
雇用情勢の影響を真っ先に受けるのは非正規雇用者です。わが国の就業者総数の3人に1人は非正規雇用。今後、失業者が急増する危険性は高いといえます。
確かに各企業は、1990年代初めのバブル経済崩壊を機に、景気に応じて雇用を調整できる体制を整えました。しかし、若者の非正規雇用が非常に高い現状は早急に改善しなければいけません。
学校卒業後の就職期に正社員になれないと、その後、正社員に就ける機会はますます遠のいてしまいますバブル経済崩壊による“就職氷河期”と就職活動の時期が重なり、正社員になれずにフリーターにとどまっている若者(25~34歳の年長フリーター層)が92万人(2007年)と、フリーター全体の半数以上を占め、依然として高止まりしている状況を深刻に受け止めるべきです。
また、男子雇用者の正規、非正規別の有配偶率(結婚している比率)を見ると、非正規の有配偶率は正規の約半分にとどまります。若者の非正規雇用の増加が、少子化につながっていると指摘されるゆえんです。
厚労省によると15~24歳の非正規雇用(非農林雇用=役員を除く)の割合は約5割に上り、対策を急ぐ必要があります。
政治が非正規雇用から正規雇用への移行を支援すべき
公明党はこれまで、非正規雇用から正規雇用への移行、若年者雇用の促進に真剣に取り組んできました。
若者の仕事探しを1カ所で総合的にサポートする「ジョブカフェ」、若者の自立や就労を支援する「地域若者サポートステーション」、一定期間を社員に近い立場で働き、正社員になれるかどうかを決める「トライアル雇用」などの支援策は、着実に成果を挙げています。今年(2008年)4月からは、年長フリーターなどの就職を後押しする「ジョブ・カード制度」もスタートしました。
だが、各支援策はまだ緒に就いたばかり。公明党は今後も、ジョブ・カードの協力企業拡大や、正社員を新規採用したり、主婦などのパートタイマーを正社員に登用する中小企業への助成金拡充など、正規雇用の拡大に全力で取り組む決意です。
「ニート」や「ワーキングプア」などといった問題がクローズアップされる昨今、公明党は若者の雇用支援に全力をあげています。以下、公明党の雇用支援に関する4つの提案をご紹介します。
若者の雇用を支援する特別の法律「若者雇用特別借置法(仮称)」を制定。正規雇用を推進する企業に対して、法人税の減税や助成金の拡充などでバックアップしていきます。
さらに就職訓練で多くの実績を残してきた「ジョブカフェ」(全国87ケ所に設置、30万人が就職)や地域若者サポートステーション(通称サポステ。全国に77ケ所に拡大)の更らなる充実を図ります。
労働者の賃金を下支えするセーフティネット(安全網)を一層強化するために、地域の実情や零細企業の実態を踏まえた上で、最低賃金の全国平均を現在の687円から、5年以内に「1000円」とすることを目指して取り組みます。
さらに、正規雇用の抜大に取り組む中小企業への助成金を拡充します。
また、社会問題となっている「派遣労働者」や「名ばかり管理職」の待遇を改善し、残業の不払いあどがあいようにします。日雇い派遣は原則禁止します。
働く意欲はあるのに、労働環境が過酷で会社をやめてしまった。経営不振によって解雇されてしまった。
このような若者に対して、仕事や職業訓練の履歴を記載するジョブ力ードを記入済みで、年収150万以下の人が職業訓練を受ける場合、期間中の生活を保障するために、月5万円の給付金制度を創設します。
女性の就業も力強く支援。出産・育児で仕事をやめた女性の再就職を応援する「マザーズ・ハローワーク」を全国に12カ所設置しました。今後、倍増していきます。
さらに、パートタイマーの社会保険適用も拡大。短時間でも正社員として働ける制度の普及、待遇の改善を図ります。
非正規雇用者の正社員化に興味があるのですが、パートタイマーを正社員に登用する中小企業への助成金拡充とは具体的にどのような制度が存在するのか、ぜひとも教えて戴きたいです。お願いします。