公明が東北農業政策発表 減反大幅見直し
河北新聞(2008/10/4)
公明党の東北元気アッププロジェクト本部(井上義久本部長)は3日、東北農業元気アップビジョンを発表した。米価の長期下落に対応し、2015年度の直接支払い制度移行、コメ生産調整(減反)の大幅見直しなどを掲げた。次期衆院選の党マニフェスト(政権公約)に反映させる方針。民主党の戸別所得補償制度に対抗する農業政策で、各党によるコメ政策論議に影響を与えそうだ。
現行の水田経営所得安定対策は、過去5年間の収入額のうち、最高と最低を除いた3年分の平均値を基準に所得補償する仕組み。だが、毎年米価が下がると、基準も下がり続ける。
このためビジョンでは、第1段階として10年度から5年間、米価下落の際、稲作農家に行う補助の算定基準となる米価(指標価格)に最低ラインを設定。コメ収入が下がり続ける現状に歯止めを掛ける。
第2段階となる直接支払い制度は、(1)農家が稲作が続けられるような再生産価格を設定し、実際の米価(指標価格)との差額のうち9割を補償する直接所得補償(2)環境保全や安全、安心に配慮したコメ作りを行った農家に補助する環境支払い―の2階建て。補助対象は、4ヘクタール以上の農家(集落営農は20ヘクタール以上)など、水田経営所得安定対策の対象者と同じにする。
一方、減反は10年度から全国一律的な割り当てを改め、割り当て目標を上回って減反した都道府県に公費を助成する「地域間融通システム」を構築する。米粉などの新規需要米や大豆、麦などの生産拡大のため、「新産地づくり交付金」も創設する。
一連の政策に要する財政負担額は、10―14年度が毎年約9800億円、直接支払い制度導入後は毎年7850億円と試算している。
このほか、食料自給率の毎年1%アップへ向けた品目別の生産・需要拡大策なども盛り込んだ。
10月3日、公明党東北元気アッププロジェクト(本部長:井上義久衆院議員、リーダー:若松謙維衆院比例ブロック予定候補)は、宮城県庁内と福島県庁内で東北における農業政策「東北農業元気アップビジョン」を発表しました。
今回、発表された「東北農業元気アップビジョン」は、井上、若松の両氏が東北各地で農業関係者と意見交換を重ね、練り上げてきたものです。
このビジョンでは、農作物を気候や風土に合わせた「適地適作」へと転換する減反の抜本的改革を提言。具体的には、大豆・麦などコメ以外の農作物への転作・生産拡大に取り組む他地域の「減反」面積分で、コメ生産適地・東北のコメ生産を拡大する、といった「地域間融通」を行うとしています。それとともに、生産調整に協力する都道府県に公費助成を行う制度を新設することを提案しています。
また、コメから他の作物へ転作した際の所得減少や減反面積分を全国的に地域間で交換する過程で生産過剰をきたし、米価下落が発生した場合の所得減額に対し、5年間の時限立法で農家への直接補てんを盛り込んでいます。
現在、国の米価低下による所得減額補償は、過去5年間の最高・最低を除く3カ年の平均収入(標準的収入額)を基準とし、当年産の収入額との差額の9割を補てんしていいます。 この原資は農業者の積立金と国の交付金で、農業者対国の負担は1対3の割合となっています。しかし、米価は下落傾向にあり、標準的収入額も補てん額も減少しているのが現状です。そこで、同ビジョンでは、「再生産価格」を設定し、それと市場価格との差額の9割を補てんする制度を提唱。農家の負担金はゼロで、対象は集落営農参加者と認定農業者などを想定していいます。
さらに(1)コメ需要を33万トン拡大(2)食用大豆の30万トン増産――などを5年間で推進し、現在40%の食料自給率を45%まで引き上げ、10年後には50%をめざすほか、(1)事故米穀の不正規流通対策(2)農業用生産資材高騰への支援――などにも取り組んでいくことにしています。
公明党では、この「東北農業元気アップビジョン」をたたき台に、衆院選のマニフェストを取りまとめる方針です。財源の明確化や小規模農家、兼業農家への政策も含めて、実効性のあるマニフェストづくりを目指します。