「日本一早い給付金」争い、青森・西目屋村5日に繰り上げ
読売新聞(2009/3/4)
青森県西目屋村(にしめやむら)は4日、定額給付金の支給開始日を予定していた9日から5日に前倒しすることを決めた。5日に支給予定の北海道西興部村(にしおこっぺむら)に並んで、全国で最速の支給を目指す。
西目屋村の給付対象者は537世帯、1595人。「全国で最も早い支給を」という関和典村長のかけ声のもと、2日から定額給付金の申請書の受け付けを始めた。9~11日に村内3か所の集会所を巡回して、現金を村民に手渡す予定だった。
ところが、西興部村(659世帯1161人)が5日に支給開始を予定していると分かり、急きょ5日に役場に窓口を設け、現金給付することにした。
西目屋村は、「日本一を目指してきたので、せっかくなら目標通りにと考えた」としている。
一方、西興部村は、「日本一を競ったつもりはなく、一日も早く届けたいと考えて5日にした。西目屋村さんには小さな自治体同士頑張りましょう、と伝えたい」としている。
定額給付金の支給準備が加速
3月4日午後、定額給付金などの財源を確保する2008年度第2次補正予算の関連法案が、衆院本会議で憲法の規定により3分の2以上の賛成多数をもって、再可決され成立しました。
政府は関連法成立を受け、2次補正の定額給付金事業、高速道路料金の引き下げ、出産・子育て支援などの国民生活支援策・経済対策を実行することになりました。給付金に関しては、申請のあった自治体に5日から交付を開始します。
先に引用した読売新聞の報道によると、青森県西目屋村(にしめやむら)と北海道西興部村(にしおこっぺむら)の2自治体が、明日(5日)から住民に定額給付金を支給することにしています。NHKニュースでは、青森県西目屋村の関和典村長が、「定額給付金は1時間、1分でも早く支給すべきだなと思います。現金ですよ。まさに定額給付金ですから」と、語っている姿が報道されていました。まさにその通り、このような姿勢が地域を元気にするのだと感心しました。
高速道路の1000円均一は3月28日から
高速道路料金の引き下げは、ノンストップ自動料金収受システム(ETC)装着車を対象に、3月28日から開始することが決まりました。地方の高速道路では土日・祝日に、走行距離にかかわらず上限料金が1000円となります。
茨城県内でも、今日の関連法案の成立を受けて、定額給付金支給準備作業が本格化することになります。
2月25日現在で県市町村課が取りまとめた資料によると、県内44市町村中、給付開始予定時期を「3月下旬」としたのは鹿嶋市と潮来市の2市。鹿嶋市では先月、総務課員ら10人でつくるワーキングチームを設置し、「年度内にどれほど住民からの申請書が返ってくるかわからないが、年度内ギリギリでも受け付けがあれば支給する」と産経新聞の取材に答えています。
一方、約27万人の支給対象者を抱える水戸市では、支給総額が約40億8000万円にも上るため、慎重な姿勢を示しています。給付のためのソフトの開発に時間がかかるとして、「申請書の送付は4月中旬に、実際に住民の手に届くには5月にずれ込む」と、井手よしひろ県議の問い合わせに回答しました。
他の市町村では、概ね3月20日過ぎに申請書を発送。申請書の返送、本人確認、口座確認などを経て4月上旬に銀行への出金。銀行での事務処理に10日から2週間程度かかり、4月の中旬以降に申請者の口座へ入金。とのスケジュールで具体的な給付事務が進む予定です。市町村が指定銀行(ほとんどが地元の常陽銀行)に入金してから、銀行内での処理にかなりの時間が掛かると予測しており、具体的な支給開始日(申請者の口座に入金される日)に開きが見られます。
申請には身分証明書(運転免許証や健康保険証)のコピーと銀行口座などの通帳のコピーを同封する必要があります。申請書を郵送するか、直接市町村の窓口に提出しないと、給付金は支給されませんので注意が必要です。
総務省3月6日発表によれば、支払額に上乗せした金額の買い物ができる「プレミアムつき商品券」の発行を予定しているのは698自治体で、全体の39%にあたるそうですね(調査は3月1日時点)。
1月29日の前回調査では129自治体だったので、2月に知恵を絞った自治体が多かったことが推察できます。
このような自治体の中には、茨城県と同様の課題をかかえるところもあるのではないでしょうか? それとも、郊外型大型店舗の影響が少ないところばかりでしょうか?
私には、今回の定額給付金を巡る地方自治体の態度は、「自らの知恵と献身で地域起こしをやる気があるかどうか」の一つの指標になると思えます。その意味で、茨城県の全般的傾向には落胆しています。
道路、空港、港湾など箱物インフラ誘致には熱心なのに、自らの知恵(ソフト)を絞ることが不得意、とまで書くと言い過ぎでしょうか。
井手様、回答ありがとうございます。
施行令第168条第3項によれば、指定機関を中心としつつも、他の銀行の力も使って支給時期を早める方策が可能と思いますが、いかがでしょう? 誤解ですか?
< 市町村のコンピュータ処理の代行を行っているのも大半が、「茨城計算センター」一社に集中 >というのは、茨城県の特殊事情? あまり良い状況とは思えないが、いかが?
ゆうちょ銀行での受取は可能? ダメという地方も多いようですが、なぜ? 相互送金可能になった移行期の今こそ、こういう処理を通じてシステム取扱に習熟すべきと思うのですが。
< もちろん、手数料は一般の取扱とは比べられないほど、安くなります。> の「もちろん」の意味が不明。
「定額給付金処理手数料は他の手数料に比べて安い」?
「寡占状態により大量処理できるから手数料が安い」?
(文脈上は後者に思えるが、内容的には不自然に感じた)
働くキリギリス 様
いつもありがとうございます。
プレミアム付商品券に消極的な理由の一つは、郊外型SCの存在です。市町村内のいわゆる商店街が荒廃し、地域内の小売業が衰退しています。商工会や商工会議所が会員の小売店に呼びかけても、「どうせ地域外の大型小売店で使われてしまう」との声で、プレミアム付商品券の提案が一蹴されてしまうそうです。
支給時期が遅れるのは、「役所からの出金業務を請け負うのが特定の銀行に限られているため」とご指摘ですが、そうともいえるし、そうともいえないと言う両面があります。都道府県は指定金融機関を必ず指定しなければならず(地方自治体施行令第168条第1項)、市町村(特別区を含む)は必要に応じて指定することができる(施行令第168条第2項)とされています。市町村が、金融機関を通して支払いをするときは、通常この指定金融機関を通して、他の金融機関に送金する仕組みになっています。
茨城県の場合は、44市町村のほとんどが「常陽銀行」です。常陽銀行に県内100万件近い定額給付金の支給業務が集中することになります。これは、常陽銀行にとっても大変なことですが、逆を言えば、一機関に集中すれば、その銀行に会わせた事務処理をすれば、早く正確に処理が可能ということも言えます。
さらに、特殊状況を言えば、市町村のコンピュータ処理の代行を行っているのも大半が、「茨城計算センター」一社に集中しているという事実があります。
まさに、茨城県では集中(寡占)が進んでおり、結果的に事務処理は順調に進むのではないかと思われます。
もちろん、手数料は一般の取扱とは比べられないほど、安くなります。一件あたり300円程度と言われています。
茨城県では、プレミア付き商品券のような取り組みに消極的な感じを受けます。それなら、支給時期を早めることに注力しているのかと思いきや、そうでもないらしい。一説には5月になるとか?
支給時期が遅くなる理由の一つに、受取口座としてどの金融機関を指定しようが、役所からの出金業務を請け負うのが特定の銀行に限られているため、と聞きました。本当でしょうか?
世界中で一瞬にしてマネーが動く昨今、もしこんなことが現実なら、甚だしい後進性と言わざるを得ない。
役所は、すべての金融機関と平等に向き合って、彼らの協力を求め、全住民に少しでも早く支給できるよう知恵を絞るべきでしょう。そういうことを積極的に仕掛けないと、いつまでも特定の銀行だけが特権にあぐらをかき続けるという前近代的な体質が残り、真の自由化の恩恵を享受しにくい事態が続くように思います。