7月9日、井手よしひろ県議ら茨城県議会保健福祉員会の一行は、愛知県立「あいち小児保健医療総合センター」を訪れ、谷風三郎センター長を始め、幹部職員よりセンターの概要や今後の方向性などについて説明を受けるとともに、施設を現地調査しました。
「あいち子供保健医療総合センター」の最大の特徴は、保健部門と医療部門を併設した施設であるということです。健康や発達について問題を抱える一人ひとりの子どもに対して、総合的に問題解決を図るための施設とし、疾病予防から、医療(治療)、リハビリまでの一貫した包括的ケアを行うことを目的としています。
保健部門は、愛知県の母子保健の中核的支援拠点として、医療部門とも連携し、情報提供、県民からの保健相談、保健所・市町村保健センター、教育・保育機関への支援、調査・研究等の幅広い活動を行っています。
一方、医療部門は、愛知県内唯一の小児医療専門病院として、小児の基礎的・先進的医療に加え、既存の医療機関では対応が十分でない医療分野に対応する機能を持っています。また隣接する養護学校と連携し、小児慢性疾患児も十分な教育が受けられるように配慮されています。地域の医療機関との連携を図るために紹介予約制になっています。
病院の施設としては、6病棟、200床(ICU6床を含む)。標榜診療科目は、小児科、呼吸器内科、循環器内科、腎臓内科、神経内科、内分泌内科、心療内科、感染症内科、小児外科、心臓血管外科、整形外科、 形成外科、精神科、アレルギー科、リウマチ科、皮膚科、泌尿器科、眼科、耳鼻いんこう科、 リハビリテーション科、放射線科、臨床検査科、麻酔科、小児歯科、矯正歯科、歯科口腔外科などとなっています。
様々な特徴的な医療を提供している小児専門病院ですが、実際に視察して、印象に残ったことは2点です。
第1は、子どもの目線で作られ、運営されてい
る施設であるということです。「あいち子供保健医療総合センター」は、白衣を着たお医者さんがいません。看護師も私服を着用しています。これは、患者である子どもが白衣を怖がるから、とセンター長は説明してくれました。病院施設も、まるでテーマパークに足を踏み入れたような感覚で設計され、装飾されています。MRIやICに海の中の様子がペインティングされているのには驚かされました。移動式のレントゲンはキリンさんの絵が描かれていました。平成20年度からは、チャイルドライフ業務が一段と充実され、6名の保育士により、入院している子どもたちの遊びや成長発達の援助ができるように、プレイコーナーの充実や手術前のオリエンテーションなどの取り組みなどが、活発に行われています。
第2は、「心療科」の充実です。専門医師と臨床心理士がチームを組んで、4つの専門外来を開設し、子どもの心の問題の治療に当たっています。4つの専門外来は、心身症外来(心身症、摂食障害など)、不登校外来(不登校、引きこもり)、子育て支援外来(虐待、子育て相談)、発達障害外来(高機能自閉症、注意欠陥多動傷害など)です。また、心療系の病棟があり、幼児、小学生、中学生の患者(15歳以下)の入院による治療を行っています。発達障害児が大きな問題となっている中で、全国的にも大変注目される取り組みとなっています。
茨城県では、県立子ども福祉医療センターの老朽化によって、その立て直しの議論が喫緊の課題となっています。医療と福祉の連携、発達障害(心療科)への取り組みなど、県のこどもの医療福祉体制整備にとって、大いに参考となった視察でした。
(写真上:明るく広々としたセンターの正面ピロティ、写真中:楽しくペインティングされたMRI、写真下:プレールームで打ち合わせする研修生、白衣を着ていないことに注目してください)
参考:あいち小児保健医療総合センター