学校施設の耐震化は、子どもたちが一日の大半を過ごす場であり、災害時には地域住民の避難場所ともなることから、様々な公共事業の中でも最優先で行うべき事業です。
ところが、鳩山内閣が今国会で成立させた2010年度の学校耐震化の予算は、公明党が与党だった昨年(2009年)8月時点の概算要求額を大幅に下回る内容でした。このため公明党は、予算減額の撤回を迫り、学校耐震化の早期実施に全力を挙げて取り組んできました。
鳩山首相は4月16日の閣僚懇談会で、公立小中学校の耐震化を早急に進めるための予備費の活用や、夏休み期間中の工事実施に向けた速やかな予算執行などを検討するよう、文部科学相に指示しました。
これは、公立小中学校の耐震化予算を2010年度予算で大幅減額した鳩山内閣が、公明党の厳しい追及に自ら予算編成の不備を認め、方針転換したことを意味します。
10年度予算における耐震化予算は当初、公明党が与党だった前政権がまとめた09年8月の概算要求段階では、全国の自治体から要望があった5000棟分の2775億円が計上されていました。しかし、鳩山内閣が編成した予算では「いのちを守る予算」との掛け声とは裏腹に、2200棟分の1032億円にとどまり、当初計画の半分にも満たないお粗末な内容でした。これでは残る2800棟の工事先送りであり、10年度に事業を予定していた自治体から不安の声が上がっていました。
こうした事態を打開するため、公明党の山口那津男代表は、2月3日の参院本会議で「命を守る政治を貫く信念と、めざすべきビジョンがない」と首相の姿勢を鋭く追及。これを受けて首相は思わず「(予算減額は)必ずしも自慢できる話じゃない」と本音を漏らした上で、「(予備費を含む)2兆円の景気対策枠の活用なども視野に入れて、学校の耐震化を早急に進めたい」との方針を表明しました。
また、公明党の富田茂之(2月9日衆院予算委、3月10日衆院文部科学委)、白浜一良(3月4日参院予算委)の各氏らが、学校の授業などに影響を与えないよう耐震化工事は夏休み期間中に行うべきだとして、予備費を活用した予算措置を速やかに実現するよう主張。さらに3月30日には、斉藤鉄夫政務調査会長らが首相に申し入れを行い、決断を迫りました。
そして、4月14日の衆院文部科学委、同15日の参院文教科学委では、予備費を活用した学校耐震化の早期実施などを求める全会一致の決議を公明党主導で実現させました。
「夏休み中の工事」を決議で後押し、来年度以降の予算確保にも道開く
国会論戦とともに、学校耐震化への予備費活用を”後押し”したのが、斉藤政調会長らによる首相への申し入れと、公明党が主導し衆参両院でそれぞれ採択された委員会決議です。
決議は、政府に(1)予備費の積極活用で耐震化予算の確保(2)夏休み期間に間に合うよう具体的な対応方針の早期提(3)学校施設の老朽化などの状況把握と、来年度以降の十分な予算確保――を求めるものです。
決議の原案は、衆院文科委理事である公明党の富田文部科学部会長が首相申し入れの内容を基に作成し、提案しました。与野党協議で、民主党側は当初、老朽化の実態把握や来年度以降の予算確保に関する文言の削除を要求。しかし、公明党が学校耐震化を進めるには「継続した予算措置が必要」と粘り強く訴えた結果、最終的に公明党案をほぼ丸のみした形になったのです。
この決議のポイントは、予備費の活用とともに、公明党が主張してきた「夏休み期間の工事実施」と「来年度以降の予算確保」に道を開いた点にあります。
多くの自治体は、夏休み中の工事実施を計画しています。このため自治体からは「4月末までに予算の具体的な政府方針が示されなければ、夏休み中の工事に支障をきたす」という声が上がっていました。
耐震化で地方経済活性化も
一方、来年度以降の予算確保は、財政難などで学校耐震化が進まない自治体に配慮したものです。文科省によれば、昨年4月1日時点で、耐震工事が必要な公立小中学校の校舎や体育館などは全国で2万5000棟に上ります。また「耐震化を急げば、安心が得られるだけでなく、地方経済の活性化にもつながる」(「読売」)との指摘もあります。
現在、具体的な予算執行の箇所付け作業が進められています。夏休み中の工事が出来なくれば、耐震化計画は後れを取ってしまいます。地方自治体は円滑に工事ができるよう、業者との仮契約など準備を早急に進める必要があります。
それだけに耐震工事の具体化には地方議員の動きが重要となります。特に、6月議会までには、工事の詳細な内容の摘め出来ている必要があります。井手よしひろ県議ら公明党茨城県本部では、万全な準備を進める計画です。