自治会協議会が公共住宅として存続要望
5月11日、公明党国土交通部会は、鳩山政権が4月26日の事業仕分けで都市再生機構(UR)の賃貸住宅事業を縮減する方向で結論付けた問題をめぐり、UR賃貸住宅(旧公団住宅)の自治会でつくる全国公団住宅自治会協議会から意見を聴取しました。
これには山口那津男代表、斉藤鉄夫政務調査会長、竹内部会長らが出席し、茨城県を含む、東京23区、東京多摩、埼玉、神奈川、千葉の自治会協議会メンバー約40人の声をお聞きしました。
席上、自治会協議会の井上紘一事務局長は、事業仕分けで「高齢者、低所得者向け住宅の供給は自治体または国に移行、市場家賃部分は民間に移行する方向で整理」と評決したことについて、「76万戸、200万人近い居住者の存在と暮らしを無視し、民営化の具体的実行へ道を開こうとするもの」と指摘し、「評価結果を絶対に許すことはできず、断固反対する」と表明しました。
その上で、大半の団地で高齢者や低所得者が過半数を占めている実態などを踏まえ、UR賃貸住宅を公共住宅として存続させ、高齢者や子育て世帯が安心して住み続けられる制度の確立などを求める要望書を提出しました。
参加者からは「居住者の事情も知らず、仕分け人がいろんなことを言っていたのは腹に据えかねた」(東京23区)、「低所得の年金生活者がずっと住めるようにしてほしい」(埼玉)、「団地を社会的資産として次世代に残す責任がある」(東京多摩)などの切実な声が寄せられました。
山口代表は「事業仕分けの名の下に皆さまが脅かされることは絶対あってはならない」として「居住の安定を堂々と訴えていく」と主張。斉藤政調会長は、党の重点政策の中に年金生活者などへの「セーフティーネット住宅」の供給を掲げる方針を強調しました。
公明党茨城県本部でも、こうした現場の声を重視し、緊急の意見聴取など対応を急ぐことにしました。(茨城県取手市の井野団地)
衆院行政監視委員会で高木議員が質疑
一方、11日の衆院決算行政監視委員会で公明党の高木陽介氏は、行政刷新会議の事業仕分けでUR賃貸住宅事業を「縮減」としたことについて、「今生活している人たちの現実をどうするのか。現場の声をしっかりと受け止めるべきだ」と強調しました。
高木氏は、居住者のうち高齢者や低所得者が占める割合が高いなど、UR賃貸住宅が果たす住宅セーフティーネット(安全網)としての役割を強調。その上で、事業仕分けの評決で「高齢者、低所得者向け住宅の供給は自治体または国に移行」と結論付けたことについて「URの11兆円の負債を地方自治体などが担うことになる」と指摘する一方、行政に移行した場合、地方自治体が管理する公営住宅と、UR賃貸住宅の現行家賃との差額を埋める新たな負担が生じる懸念を指摘しました。
これに対し、枝野幸男行政刷新担当相は「一律に断定的に結論を出しているわけではない」と述べる一方、「(高齢者や低所得者の)セーフティーネットとしての機能を国の責任でしっかりやる」との考えを示しました。