9月16日、公明党の山口那津男代表は参院本会議で、野田佳彦首相の所信表明演説に対し代表質問を行いました。
■台風12号災害、早期の激甚災害指定を
山口代表は、紀伊半島を中心に甚大な被害を出した台風12号災害について、激甚災害指定への対応を迫った。さらに高速道路が「『命をつなぐ道路』としての機能が発揮された」として、紀伊半島のミッシングリンク(高速道路が途切れた区間)の解消などへの見解をただしました。
これに対して、野田首相は「激甚災害に指定し、被災者の生活再建の支援や被災した家への財政支援を図る」とし、ミッシングリンクの解消にも意欲を示しました。
■民主党公約はすでに破綻
山口代表は、民主党のマニフェスト(政権公約)破綻に関し「『国民・有権者との契約不履行』と断じざるを得ない」と糾弾し、対応を追及しました。
野田首相は、マニフェスト破綻について「率直に認め、国民に説明し、理解をいただくよう努力する」と述べました。
■3次補正、国会提出の日程を示せ
山口代表は、本格的な復興予算の全体像が示されず、被災地では「いまだに復興計画が策定できない」とし、政府の姿勢を厳しく批判。3次補正予算の編成に対し、公明党が「復興一括交付金」や「復興基金」の創設など具体的な提言をしていることに言及しました。その上で、本来2次補正で取り組むべき内容を3次補正に持ち越したことについて「被災者、国民生活に対する想像力や緊張感が民主党政権には欠落していた証拠」と指弾し、あらためて国会提出の日程を明示するよう求めました。
さらに、二重ローン対策について山口代表は「既存の枠組みにとらわれない思い切った支援策が必要」と主張。公明党など野党が提出した法案では、機構による債権買い取りの対象を中小企業だけでなく農林漁業者などにも広げ、機構が相談から支援までを1カ所で行うことを定めている点に触れ、早期成立を求めました。
■円高へ総力を挙げた対応を
山口代表は急激な円高を受けて8月18日、公明党として円高対策を含む総合経済対策を政府に提言したものの、政府の対応はあまりに遅いと厳しく指摘。「現下の経済情勢は、震災に続く新たな試練とも言える異常事態」として、政府が総力を挙げて事態打開に乗り出すよう強く求めました。
その上で山口代表は、(1)災害に強いまちづくりのための社会基盤の整備(2)中小企業の資金繰り支援強化(3)雇用確保(4)産業空洞化の防止策―などを提案。野田首相は「中小企業の支援に万全を期す」と述べ、円高や産業の空洞化対策についても、あらゆる政策手段を講じる考えを示しました。
■子宮頸がんワクチン等、妊婦健診の負担軽減、介護職員の処遇改善など基金事業の継続・拡充求める
山口代表は、公明党が推進してきた医療や介護の充実、子育て支援強化などに対応する基金事業のうち、今年度限りで終了するものが多いと指摘。「多くの関係者から事業の継続を求める声が上がっている」として、子宮頸がん予防ワクチンなどの接種事業を財政支援する基金や、妊婦健診の負担軽減を図る基金などの継続を求めました。また、介護職員の処遇改善のための基金についても積み増しを訴え、「着実に賃金引き上げなどに充てられるよう措置すべきだ」と主張しました。
■民主党の外交・安保の失政を質す
山口代表は「安全保障の素人だが、これが本当のシビリアンコントロール」などと発言した一川保夫防衛相の資質に懸念を表明。「基本的な意味を全く理解していない大臣が日本の領土と国民の生命・財産を守ることができるのか」と糾弾しました。
また、日本外交の現状について「2009年の政権交代以降、無能なリーダーの下で確実に弱体化した」と厳しく指摘し、立て直しを要請。中国漁船衝突事件やロシア大統領の北方領土訪問、韓国との竹島問題、米軍普天間基地の移設問題などに言及し、これまでの民主党外交に対する首相の見解をただしました。
野田首相は、普天間問題について「沖縄の皆さまに大変なご迷惑をおかけし、深くおわびしなければならない」と、失政を反省した上で、「国益を増進すべく最大限努力する」と応じました。