荒木清寛参院政策審議会長が野田総理に代表質問
10月2日、国会では参議院本会議で、野田佳彦首相の所信表明演説などに対する各党代表質問を行われました。公明党の荒木清寛参院政策審議会長は、東日本大震災への支援に関して、「本格的な復旧・復興にあらゆる力を尽くす」と強調。その上で、除染推進体制の抜本的強化など復興の具体策や景気・経済対策について、政府の認識を質しました。
以下、福島県内で始まった除染対策については、質問の内容をご紹介します。
荒木清寛参院政策審議会長 政府の除染対策に関して、避難指示区域にある関係自治体の首長をはじめ、厳しい批判の声が渦巻いてい ます。「政府による除染モデル事業がわずか400メートル四方と小規模過ぎる。除染作業がいかに労力と お金の掛かる大変な仕事という認識があるのか。国の責任で除染をやると言っているが、発言に実行が全く伴っていない」「除染は1~2年間の短期間で実施されないと、避難している住民の方々は故郷に戻ろう という気持ちがなえてしまう」など、現地では今、政府に対する不信感が高まっています。
総理、福島県にとっての最重要課題は除染です。いち早く故郷へ戻るため、元の学校へ通うため、そして、県民が安心して元の暮らしに戻るための最大の課題が除染であります。
しかし、総理をはじめ関係大臣からは「国の責任」と何度も繰り返されるものの、具体策がなかなか打ち出されません。国の責任とは何ですか?予算ですか、期限ですか、実行主体ですか、それとも政治責任を取るという意味なのでしょうか?
総理は、「除染を徹底的に進めることが急務です」と所信を述べられましたが、今般策定された「基本方針骨子案」では、政府による除染の対象範囲は一部に限定され、それ以外は自治体任せです。除染措置や体制整備は人員が手薄な環境省任せです。実際の除染作業は自治体や地元住民任せで政府はもっぱら後方支援、という現状を見る限り、総理の決意のままに除染が進められるのか、甚だ疑問です。
政府を挙げて大規模除染に取り組むために、まずは他省庁との調整も含め、環境省任せになっている現状の除染推進体制を抜本的に強化すべきです。例えば、内閣官房に除染推進のための機関を設置するなど政府一体で除染推進を図るための司令塔を置き、総理や官房長官主導のもと、官民の人材やあらゆる知見を生かしながら、一元的かつ効率的に除染を推進できる体制を早急に構築するべきです。
加えて、現在、自治体主体で実施されている除染作業について、財政面での支援のみならず、除染機材や装備品の手配、除染事業者の派遣などを行い、自治体が行った除染計画目標の早期達成に政府は積極的に協力するべきです。
失望ではなく、希望を与えるのが政府の役割です。
野田総理大臣 大規模な除染の迅速かつ着実な実施のために、環境省を中心に関係省庁が連携し、政府全体で取り組んでいかなければならない。そのために必要な職員を環境省に集中的に配置し、とりわけ福島県には、福島環境再生事務所を設けるなど、重点的に職員を配置すべく調整している。民間からも人員を募集するほか、除染と関連の深い関係省庁からの職員を配置するなど、政府一丸となって、一元的かつ効率的な除染を推進する体制を構築する。