次期がん対策基本計画の重点に 小児がん対策
日本では年間2000~2500人の子どもが、がんを患っています。小児がんは子どもの病死原因の第1位であり、その対策は幼い命を守る 上で「待ったなし」の課題です。
大人のがんは胃や肺、大腸などに多いが、小児がんは白血病が最も多く、脳腫瘍がこれに続き、大人とはその対策が大きく異なっています。
また、小児がんは大人に比べ症例が少ないことから、がん対策全体の中では、必ずしも十分な対策が取られていなかったとの指摘も多く、子どもへのケアはもちろん、家族への支援なども含めた対策の拡充が迫られています。
11月2日の参院本会議の代表質問で公明党の荒木清寛参院政策審議会長は、この小児がん問題を取り上げ、(1)小児がん拠点病院をはじめと する療育環境の確立(2)長期にわたり支援する体制の整備 (3)病理診断医を含めた専門家の養成―の3点を「喫緊の課題」として指摘。小児がん対策を2012年度からの第2次がん対策推進基本計画で重点課題として位置付けるよう訴えました。
がん対策推進基本計画は、公明党のリードで2007年に策定されました。国のがん対策推進協議会は現在、2011年度末が期限の現行計画に代わり、2012年度から実施される次期計画(5年間)の策定に向け、検討作業が進められています。
こうした中、小児がん対策が、次期計画の重点課題として組み入れられる意義は大きいものがあります。荒木参議院議員の主張に対し、野田首相は小児がん拠点病院の整備や相談体制の確立の必要性に触れた上で、「次期推進基本計画、2012年度予算編成過程において小児がん対策を着実に進めていく」 と前向きな姿勢を示しました。
具体的には、来年度予算の概算要求の「日本再生重点化措置」に、小児がん拠点病院の整備に5億4400万円が盛り込まれました。「小児 がん拠点病院機能強化事業」に5億円を当て、専門の拠点病院を新たに指定します。患者を集約化し、地域の医療機関と連携しながら、最適な治療を提供する体制を整えることになりました。小児がん緩和ケアを行う医療従事者を養成するための研修事業(4400万円) も、特別枠に盛り込 まれました。このほか、患者・家族が安心して医療を受けられるよう、プレイルームの設置など療養環境の整備も図ることになっています。
翻って茨城県においては、県立こども病院が小児がん拠点病院の機能を担ってきました。県内で年間発生する小児がん患者数は30~40人です。こうした患者を集約して、県立こども病院と筑波大学が連携して小児がん対策を進めています。国が進める「小児がん拠点病院機能強化事業」の中で、県立子ども病院がどのように位置づけられるか、まだ明らかではありませんが、 病床数の拡充、医師、看護師の確保など具体的に進める必要があります。