Video streaming by Ustream参考人聴取で浮かび上がった、民主党トップの無責任ぶり
懲りない人とはこの人のことを言うのだと思う。
東京電力福島第1原子力発電所事故を検証する国会の事故調査委員会(国会事故調)の意見聴取の後、菅直人前総理は、自身のブログに以下のように綴りました。
当事者だった自覚もないこの感想に呆れた口がふさがりません。
国会事故調での私の発言の最後の部分
<原子力ムラの解明と解体>
菅直人 OFFICIAL BLOG(2012/5/28)
ゴルバチョフソ連首相は、「チェルノブイリ事故は我が国体制全体の病根を照らし出した」と回想録で述べています。福島原発事故についても同じことが言えます。
戦前、「軍部」が政治の実権を掌握した過程と類似。
東電と電事連を中心に、原子力行政の実権を次第に掌握。批判的な専門家や政治家、官僚は「ムラ」の掟によって村八分にされ、主流から外されてきた。それを見ていた、多くの関係者は「自己保身」と「事なかれ主義」に陥っていた。私自身の反省を込めて言う。
現在、原子力ムラは今回の事故に対する深刻な反省もないまま、原子力行政の実権を握り続けようとしている。
こうした戦前の軍部にも似た「原子力ムラ」の組織的構造、社会心理的構造を徹底的に解明し、解体することが原子力行政の抜本改革の第一歩。
原子力規制組織として、原子力規制委員会を作るときに、米国やヨーロッパの原子力規制の経験者である「外国人の委員」を招聘することも改革の一つ。
国会事故調は、が事故当時の官邸中枢への意見聴取を一通り終了しました。6月中には報告書をまとめる方針です。
これまで17回に至る委員会では、菅直人前首相をはじめとする官邸や行政、原子力安全委員会、原子力安全・保安院、東電のそれぞれのトップら、事故対応のキーマンと公開の場で質疑を行いました。
この意義は非常に大きいといえます。政府の事故対策本部は、議事録すら残しておらず、真相は闇の中だからです。
また、政府や東電、民間のそれぞれの立場で事故調査委員会が立ち上げられているいますが、政府、東電の事故調は身内の調査であり、民間事故調は第三者の立場で行われましたが、東電への取材を断られるなど、逆に調査能力に限界がありました。
一方、国会事故調は現憲法下で初めて国会に設置され、衆参両院の合同協議会に国政調査権行使を要請できる故に、現役閣僚や国会議員を含む関係者を参考人聴取へ呼び出すことができたのです。
こうして公開の場で真相にメスを入れる中で、多くの対立点が明らかになってきました。
例えば、1号機原子炉への海水注入に対して菅氏が中断を命じたかどうか。これについて、菅氏は中断指示を否定したが、海江田万里・元経産相は「(菅氏が)再臨界の可能性はないのか」と、菅氏が海水注入に疑念を挟んだとの証言をするなど食い違っています。
また、東電が福島第1原発からの全員退避を官邸に打診し、菅氏から激しい叱責を受けたことでも、東電側と官邸側で証言は全く正反対なものです。
こうした対立点は、事故拡大の原因が官邸の過剰な現場介入にあったのか、現場で対応に当たっていた東電側に問題があったのかという、究明の焦点にもなっています。
こうしたことから、国会事故調は、事故当時に東電社長だった清水正孝氏を今月8日に参考人招致し、さらに究明を進める姿勢です。
それにしても、国会事故調の参考人聴取で“言い逃れ”に終始する姿をさらした関係者は多かったのが残念です。
特に、菅氏に至っては「事故の最大の責任は国にある」と陳謝しはしましたが、自らの責任については、弁舌たくみに「国」という“三人称”に紛れ込ませました。そこにリーダーとしての責任感はみじんも感じられません。
どこまで真相究明へ鋭くメスを入れられるか、国会事故調の手腕に期待したいと思います。