6月6日、神栖市のヒ素問題について、茨城県と被害住民の間に、和解が成立する見込みとなりました。そのため、県は民事訴訟を行わない方針を決定しました。
神栖市の井戸水が旧日本軍が製造した毒ガスに由来する有機ヒ素化合物に汚染され、住民らが健康被害を受けた問題では、国の公害等調整委員会が住民37人に損害賠償を支払うよう裁定を決定しました。
5月11日に公調委が出した裁定では、平成11年にヒ素汚染を把握しながら十分な調査をしていなかったなどと県の責任を認定。県に対し、住民37人に総額2826万円の支払いを命じていました。
県はこの裁定に不服がある場合、民事訴訟に訴えることが出来ます。被害住民や公明党など県議会関係者からは、裁判に訴えず住民と和解するよう求める声が上がっていました。
6日までにまとまった和解案によると、茨城県は公調委が認定した賠償金2826万円に加えて、合計6000万円を支払う。被害住民は、今後更なる賠償金の請求を行わない。県は医療費負担など国の制度を継続するよう働きかける。などとなっています。
県が被害住民との和解にこだわった背景は、今回の公調委の裁定で認められたのは、住民らの損害賠償請求額(1億1700万円)の一部であり、今後更なる某少額の増額が要求される懸念があるからです。民事裁判を提訴し、その中で和解することも検討されていましたが、「裁判でさらに長期間住民に負担を掛けることは得策ではない」との判断から、認定額を上回る賠償金で両者が折り合ったことになります。
これからの予定は、和解案を明日6月7日の県議会に提案。11日に井手よしひろ県議が所属する保健福祉委員会と防災環境商工委員会での連合審査を経て、議会最終日に採決されることになります。