7月6日、東日本大震災で被災した自治体庁舎の再建について、総務省は、自治体が単独事業で再建を行う場合に、震災復興特別交付税を活用し国が全額負担することを決めました。川端総務大臣が、7日午前、閣議後の記者会見で発表しました。
今回の震災では、岩手、宮城、福島、茨城の13市町の本庁舎が地震や津波などで壊滅的な被害を受け、仮庁舎などで業務を続けています。
公明党は、震災で大きな被害を受け、その復興過程にある市長村が、庁舎の再建までその負担を負うことは困難であり、地域住民の防災拠点である市町村の庁舎の復旧を迅速に進めるためにも、国手厚い支援が必要だと主張してきました。
茨城県内では、水戸市、城里町、高萩市などを含む13の市町村が震災の影響で、庁舎の全部または一部が使用できなくなっています。公明党の県本部を上げて、各庁舎の実態調査や国への要望活動を行ってきました。
こうした動きを受けて、総務省は、庁舎再建が復興交付金の対象にならない場合でも、標準的な事業費については、震災復興特別交付税で財政支援することになりました。総額は500億~700億円になる見通しです。地震の直接的被害で、本庁舎が全て使えなくなっている水戸、城里、髙萩の3市町が今回の支援対象となります。
特に、水戸市や高萩市は、合併特例債事業にも該当しないため、その財源の捻出に腐心しいて事もあり、今回の決定は朗報となりました。
今後、全壊はしていないものの市民サービスに支障をきたしている9つの自治体の支援をどのように行うかが、課題として残ります。
なお、財政支援策の枠組みは以下のようになります。
標準事業費は、全額震災復興特別交付税により国が支援(標準事業費は入居職員数×35.3または被災前面積を比較して大きい方×31.1万円で算出)。単価や面積が標準事業額より多い部分は、地方債を発行し、元利償還金に対して国が70%を普通交付税で措置する。
№ | 市町村名 | 被害状況 | 対応状況 (予定を含む ) |
1 | 水戸市 | ・本庁舎 (7階建)及び水道庁舎 (4階建)が、地盤沈下やコンクリート剥落等により使用不可。 | ・代替施設として市等施設 (市民会館、県合同庁舎等)を活用し、事務室を分散化。 ・本庁舎敷地及び隣接地に仮設プレハブ庁舎を設置。 ・分散している市民窓口と担当課を集約化し、効率的に行政サービスを提供するため、大規模な仮設プレハブ庁舎を建設予定 (県三の丸庁舎敷地、本庁舎敷地 )。 |
2 | 高萩市 | ・本庁舎(3階建)、第2庁舎(2階建)及び第3庁舎(2階建)は、柱や壁に亀裂が発生したため使用不可。 | ・仮庁舎として一時的に次の市施設へ移転、総合福祉センター、社会教育施設「リーベロたかはぎ」、庁舎敷地内車庫 |
3 | 城里町 | ・本庁舎 (3階建)が使用不可。外・内壁の亀裂、天井落下、望楼の損壊。 | ・代替施設としてコミュニティセンター城里を利用 |
4 | 日立市 | ・本庁舎の第1~第5庁舎建物 (5階建)及び各庁舎間連絡通路等が損傷。 | ・今後大きな余震が発生するおそれもあるため、主に市民が多く来庁する課を、9月1日に仮設プレハブ庁舎へ移転。 |
5 | 石岡市 | ・本庁舎 (4階建 )のうち、3・4階が使用不可。主に柱及び壁のひび割れ。 | ・議会は支所 (八郷庁舎 )へ移転。 ・本庁舎敷地内に仮設プレハブ庁舎を建設し、今後、一部窓口業務等を移転予定。 |
6 | 常総市 | ・本庁舎のうち旧庁舎 (3階建 )が使用不可。 | ・旧庁舎所在の各課を仮設プレハブ庁舎や別棟、公民館等へ移転。 |
7 | 常陸太田市 | ・本庁舎議場の天井、照明器具、空調器具、壁面が破損し落下した。 ・地盤沈下により宅内排水施設の汚水管及び玄関通路が損壊した。 |
・本庁舎議場は立入禁止とし、別の会議室を利用。今後修繕予定。 ・宅内排水施設損壊のため、障害者用トイレは使用禁止。今後修繕予定。 |
8 | 笠間市 | [笠間支所(教育委員会及び支所各課)]庁舎(2階建)の使用不可 [本庁舎(旧友部町庁舎)]室内天井及び照明の一部崩落、空調設備の破損 |
[笠間支所]代替施設として、笠間公民館を一時的に利用。笠間支所の機能は、仮設プレハブ庁舎を建設し対応。 [本庁舎]室内天井の一部崩落により落下物等危険な状況、空調設備が使用不可。今後、修繕予定。 |
9 | 坂東市 | ・本庁舎 (3階建)は、一部を除き使用不可。 | ・本庁舎敷地内に仮設プレハブ庁舎を建設。議場は猿島庁舎へ一時移転。その他は、分庁舎に移転。 |
10 | かすみがうら市 | ・本庁舎 (3階建 )の2・3階が使用不可。3階の議場は、壁のひび割れ、天井の落下や入口扉の落下等。2階の市長等室・会議室・サーバー室は、天井の落下、壁がせん断破裂等。 | ・議会は、本庁舎 (千代田庁舎)に隣接する防災センター及び増築庁舎にその機能を仮移転。本会議については、防災センター2階の大会議室を仮議場として使用。 ・市長室及び秘書課は、増築庁舎1階に配置。 |
11 | 行方市 | ・本庁舎の第2庁舎にある望楼に亀裂があり、一部崩壊の可能性がある。 | ・第2庁舎で業務を行っていた税務、財政、企画の各課が第1庁舎及び保健センターに移転。 |
12 | 鉾田市 | ・本庁舎敷地内擁壁が10㎝程度起き上がり、その影響で福祉事務所 (福祉関係各課)が最大20cm沈下した。 | ・窓の開閉不能、床の傾斜、自動ドアの開閉不能。 ・今後、擁壁、建物の傾斜復旧の予定 |
13 | 小美玉市 | ・議会議場の天井及び照明設備が崩落 | ・議会議場以外の場所で議会を開催。議場は改修予定。 |