7月11日、井手よしひろ県議ら茨城県議会保健福祉委員会のメンバーは、県外調査を行い、兵庫県立淡路景観園芸学校を視察しました。
阪神淡路大震災の際は、花や緑、園芸作業が被災者の大きな心の支えとなりました。兵庫県では、全国に先駆けて花と緑が持つ人を癒す力を活用できる園芸療法士を育てるための学校を創立しました。
兵庫県立淡路景観園芸学校は、一般の公立学校の枠に収まらないユニークな学校です。その中でも、今回、重点的に説明を伺った園芸療法課程は、介護や医療、教育などの新たな可能性を開く分野であると実感しました。
園芸療法とは、農業や園芸が人の精神や身体へ与える効用を利用して、高齢者や障害を持つ方々に、健康の増進や生活の質の向上などを目的として行なう療法です。高齢者の介護施設などで、花やハーブなどを育てることで、入所者の介護度を下げたり、ストレスを和らげたりしようとする試みです。
淡路景観園芸学校では、農業・園芸、医療、福祉、園芸などの学習・実戦経験のある人を対象に1年間の全寮制教育の中で、集中的に園芸療法に必要な知識や技術を教授し、園芸療法の実践者として活躍できる能力を開発しています。更に、昨年からは社会人コースも開設し、働きながら2年間で学べるように体制を充実させました。
この過程を修了すると、兵庫県独自の資格である“園芸療法士”の資格が得られます。全国でも、園芸療法士の資格を公的な期間が認定するのは、兵庫県だけの試みです。
その効果は、感覚的には理解できますが、高齢者や障がい者一人ひとりの健康増進、介護度の低減、生活改善などにどのように効果があったか、言い換えれば、どれだけ元気になったかを、客観的に評価することは難しいことも事実です。その意味で、園芸療法士が行う行為(例えば花づくりを高齢者とともに行う行為)と、一般のヘルパーやボランティアが行う行為とが、どのように違う効果をもたらすのか、その評価をどのように行うかが最も重要な課題となっています。
兵庫県は、この学校の整備に85億円を投じ、毎年2億円以上の運営費を県費から繰り出しています。学校の教員や職員は、すべて県職員ですからその人件費も県民の税金で支えられています。景観園芸学校の高邁な理念を実現するたまには、大きな課題があることを確認させていただきました。
しかし、こうした取り組みが、兵庫県という一地方自治体で営々と行われていることには拍手を送りたいと思います。