東京電力福島第一原発事故で発生した「指定廃棄物」の最終処分場候補地に高萩市上君田竪石の国有地が選ばれた問題。風評被害や観光などへの悪影響を懸念する声が、地元高萩市では高まっています。9月27日、草間吉夫市長は「賛成理由はゼロ。反対理由はいくらでもある」と、断固反対を表明しました。
高萩市議会も来週中に臨時会を開いて反対の意見書を取りまとめ、国に提出することを決めています。
マスコミ報道によると、草間市長は27日午前11時40分頃から、横光克彦・環境副大臣と会談。「高萩市は被災地。庁舎も壊れ、復興の途上だ。こんな話が来たことに驚いている」「施設に100%の安全はない。市民に安全とは言えない」と強く反発しました。
その後の記者会見では、市長はボーイスカウト日本連盟が市内の山林に整備する野外活動施設への影響について、「マイナス材料になる」と述べ、観光や農作物への影響にも懸念を示しました。
環境省によると、最終処分場は、指定廃棄物の埋め立て地や防災調整池、管理棟などで構成され、面積は1.1~1.5ヘクタール。埋め立て地は、コンクリートで遮蔽された「遮断型」で、雨水の浸入や内部からの水漏れも防ぐ構造になっています。
深さは10メートル程度で、厚さ35センチ以上のコンクリートで側面と底面を二重に覆った箱状の構造です。埋め立て作業中は、廃棄物が飛び散ったり雨水が浸入したりしないように屋根が取り付けられます。埋め立てが終われば、粘土が混ざった、水を通しにくい「ベントナイト混合土」を側面と底面の空間に充填し、上部はコンクリートで被覆し、土をかぶせます。周囲には調査用の井戸を掘り、地下水を監視します。環境省は8月3日現在の県内の指定廃棄物1709トンが3490トンまで増えると推計し、新たに発生する分を合わせ最大で1万トン余りに膨らむと予想しています。
井手よしひろ県議ら公明党では、現在、党高萩支部(支部長:今川敏宏髙萩市議)が“建設反対署名”の準備を行っています。10月2日から約10日間、議員・党員が高萩市内で署名の協力を呼びかける予定です。まとまった署名は10月中旬に環境大臣に提出いたします。
平成24年9月27日、高萩市は国から、放射性セシウム濃度が8,000ベクレル/kgを超える指定廃棄物(ゴミ焼却灰、下水汚泥、農林業系副産物等)の最終処分場の候補地として、高萩市上君田字竪石の国有林野を選定したことを、突然一方的に報告されました。
これは、昨年3・11大震災時に起きた福島第一原子力発電所事故により、茨城県内に拡散した放射性廃棄物の処分について、本来国の責任で対処しなければならないところを、高萩市一カ所に集めて処分しようというものです。
高萩市は福島原発事故により放射線被害を受け、放射線量が高い地域として国に除染実施を認定された市です。市では今年度より子どもたちが長時間関わる保育園・幼稚園・小中学校から優先的に除染を開始し、学校関係はこの夏休みで終了はしたものの、他の公園や通学路はまだ途上であり、その他の公共施設の除染は平成26年度までの計画となっています。
また、公共施設以外の私有地は市民が自己責任で除染しなければならず、さらに農林業や観光の風評被害も甚大で、放射線被害の影響は今後長く続くものと不安を抱えた状況です。
このように真に放射線被害者である高萩市民にとって、この度の国の選定の進め方や突然の一方的な報告のあり方は誠意ある行為とは思えず、不信感を抱くとともに受け入れるわけにはいきません。
以上、署名をもって国が指定廃棄物の処分場として高萩市を選定したことに強く抗議し、処分場建設に断固反対するものであります。
平成24年9月29日
環境大臣 殿
副支部長 菊地正芳