3月1日、詮療報酬を不正に請求したとして、昨年12月より保険医療機関の指定を取り消されていた東京医科大学茨城医療センターが、わずか3カ月で再指定にこぎつけ、通常の診療を再開しました。
この日、茨城医療センターを訪れた外来患者は約800人。取り消し期間中に比べて、300人程度多い患者が訪れました。正面入口では、午前8:30より約1時間、松崎靖司センター長、東京医科大学坪井良治常務理事ら病院幹部が、来院した患者を出迎えました。
松崎センター長は、マスコミの取材に「ひと言で言えばホットしている。地域の皆さんにやっと恩返しができるのが嬉しい。再指定のかたちになり、多くの支援に報いることが大きな喜びと感じる。皆さんへの恩返し、誠実な医療を行わなければならないと改めて心に留めている」と語りました。
今回の不正請求は、そもそも前センター長のワンマン体制や病院組織としてのコンプライアンスの欠如、ガバナンスの不足などが引き起こしたものでした。前センター長は、具体的に不正請求を部下に指示し、部下はそれを不正と知りつつ、指示に反対することはしませんでした。
まさに白い巨塔の負の部分がそのまま顕在化した結果の出来だったと言えます。当然、この前センター長は懲戒解雇となっていますが、その不正の影響はどれ程のものになったが、計り知れません。今後、民事的な請求も行われていくのでしょうか?
参考:東京医科大学茨城医療センターにおける診療報酬の不正請求について
保険医療機関の指定取消しが決まった当初、病院幹部の対応にも批判が寄せられました。迷惑がかかるであろう患者や地元自治体への謝罪や説明は不足し、顰蹙(ひんしゅく)をかいました。
それから約半年、果たして東京医大茨城医療センターの姿勢は改まったのでしょうか。
通常、保険医療機関の指定を取り消しは、その医療機関の廃業を意味します。しかし、茨城医療センターは地域の努力で再開にこぎ着けました。
このまま治療が受けられるのか、不安な日々を過ごされた患者さん。実際に他の病院に転院を強いられ大変なご苦労をされた患者の皆さん。地域に無くてはならない病院ということで、地元住民や市民団体、自治体の首長、議会、県や県議会、国会議員など、どれだけの方々が再開への努力を費やしたのか。
茨城医療センターは、患者第一主義、地元第一主義の病院に生れ変わってもらいたいと思います。松崎センター長の「皆さんに恩返しを」と言葉に期待したいと思います。
(写真は、松崎靖司センター長(前方左)に申入書を手渡す井手よしひろ県議ら公明党議員団:2012/9/29)