3月4日、約432億円余りの平成24年度補正予算が、知事より県議会に提案されました。
歳出のうち主なものは、622億円に上る経済対策関連の経費です。道路や橋梁の老朽化対策や通学路の交通安全対策など公共事業費への追加が329億7100万円、県立学校を中心とする県有建物の耐震化事業に4億1700万円、津波被災地域復興支援事業に対する市町村への助成金4億5500万円などが計上されています。
いずれも今年度の予算執行は間に合いませんので、今来年度に繰り越されることになります。
また、雇用創出等基金に107億円、地域医療再生基金に25億円、健やかこども基金に37億3100万円など、国からの交付金を原資とする基金の積立てに総額252億9900万円が割り当てられました。これらの基金は来年度から数年間にわたり計画的に使われていくことになります。
さらに、茨城県は保有土地(いわゆる塩漬になっている公共用地)に関する将来負担の縮減のために、県開発公社への土地処分委託料124億9000万円、やさしさのまち「桜の郷」整備に係る県土地開発公社への委託料35億5900万円、土地開発公社に対する経営支援のために29億1700万円などがが予算化されました。これらの予算は、購入し開発工事を行った土地代金と工事費が、土地価格が下がってしまったために実際の販売価格の差額を埋めるために必要な経費です。これらの財源は、県税の増収分で148億2100万円、国からの追加支出金361億4300万円、震災復興特別交付税の追加配分による地方交付税の増80億2700万円などです。
今回の補正予算の結果、平成24年度の最終予算の規模は1兆1672億円となります。補正予算としては史上2番目の大型補正予算です。
平成24年度補正予算には、いくつかの着目すべき項目があります。
その第1は、なんといっても、次年度への繰越し額の大きさです。予算上は繰越明許費として示されますが、923億円4000万円という額の繰越しになります。主なものは、土木費567億円、災害復旧費151億などです。国の15ヶ月予算に対応するものと理解しています。
第2は、県の未収金について債権を放棄するための議案が提出されたことです。一般企業においては、必要な手続きを行った上でも回収できない債権については、一定の期間が経過した後、当然、その債権は放棄されます。そのため未収金引当金などの計上が認められています。しかし、県などの地方公共団体の経理では、こうした回収不能債権の放棄が進んでおらず、正しい収支の情況がつかめなくなっています。そこで、県は未収金の権利放棄に一定のルール付けを行い、民法の時効を過ぎたものについては、債権放棄を行うことになりました。(民法上の時効は通常10年ですが、定期給付債権、商事債権は5年、医師の診療に関する債権3年です)具体的には中小企業設備近代化資金貸付金2件(19億2500万円)、県立病院の治療費4件(370万円)の債権を放葉します。また、50万円以下の債権については、知事の専決処分により債権を放棄します。今回の専決分は合計で187万円余りとなりました。
第3には、県開発公社の不良債務処理について「アセット・バックド・ローン」という新たな仕組みで、399億円の債務を県が肩代わりし、18年間の長期にわたって返済する債務負担行為が提案されています。
このアセット・バックド・ローン(ABL)については、別項であらためて取り上げたいと思いますが、支払利息を大幅に削減できることや、対照となった土地の流動性が確保できるなどのメリットも多く高く評価したいと思います。