4月27日、井手よしひろ県議ら茨城県議会公明党議員団と水戸市議団は、水戸市内で公益財団法人茨城県薬剤師会根本清美会長から要望聴取を行うとともに、意見交換を行いました。この要望聴取には、石井啓一公明党政調会長も同席しました。
冒頭、石井会長は日本人の生涯医療費が2400万円であり、70歳未満が51%、70歳以上が49%と高齢期の医療費の割合が高いことを指摘しました。(数値は平成22年完全生命表により定住人口を適用して推計した結果)その上で、年間34兆円を超える国民医療費のムダを省き、国民の健康を守る体制を作ることが重要かを強調しました。
要望事項では、医薬品の適正使用の啓発事業に対する助成の強化が短期的課題として要望されました。セルフメディケーションへの関心が高まっている状況を踏まえ、消費者が医薬品の適正使用に関する地域を身につけていくことが重要です。茨城県では、老人会や婦人会などの地域の集会に、県薬剤師会から講師を派遣する事業が行われています。委託費の増額や医薬品の適正使用啓発、後発医薬品(ジェネリック薬品)使用啓発に関わる事業への一層の助成が必要です。
また、薬局などで糖尿病重症化への対応として血糖値を図ることなどが認められてたことから、機材の購入補助などができないかとの話もありました。
さらに、薬局を活用した健康情報の発信について、アンチ・ドーピングの普及啓発について、薬剤師の確保についての要望を寄せられました。
薬局で糖尿病簡易検査を認める
3月31日、厚生労働省は、臨床検査技師法に基づく告示を一部改正し、薬局での自己採血検査に関して、衛生検査所としての登録は不要とすることを明確化しました。身近な薬局で簡易検査を行うことで、糖尿病の早期発見・治療につなげようという社会実験プロジェクト「糖尿病診断アクセス革命」の成果などを受けたものです。法的なグレーゾーンが解消されたことにより、地域の健康拠点として、薬局の取り組みに弾みが付くと期待されています。
「糖尿病診断アクセス革命」は、2010年10月にスタートし、現在は東京都足立区と徳島県内の計20薬局で展開されています。店頭に小型の簡易検査機器を設置し、薬局の利用者が、指先に自分で針を指し糖尿病の目安となるHbA1c値を測定するものです。その場ですぐに結果が分かり、糖尿病が疑われる場合には、薬剤師が医療機関への受診を勧めるという仕組みです。
「糖尿病診断アクセス革命」事務局によると、この3年半の間に検査を受けた人は計3014人。このうち、糖尿病が強く疑われた人(HbA1c=6.5%以上)は約12%(348人)、予備群と疑われた人(6.0-6.4%)が約16%(489人)で、合わせて約3割が受診勧奨の対象でした。また、全体の約4割は、定期的な健康診断を受けていなかったことも分かり、健診などより敷居の低い薬局でスクリーニングを行う有効性が示されました。
一方で、血液検査などを行う衛生検査所の届け出などを定めた臨床検査技師法上の位置付けがはっきりせず、薬局での検査に関して許可が得られるかどうか、地域ごとに解釈や判断が異なるなど、取り組みを広げる際のハードルとなっていました。医師法や薬事法との関係も整理したガイドラインが近く示される予定です。
プロジェクト代表の矢作直也・筑波大准教授は、「糖尿病は自覚症状が乏しく、重症化してから発見されることも少なくない。薬局での自己採血検査は画期的な試みで、今回の改正で一層、普及していくと予想される」としています。(キャリアブレイン2014/3/31付け記事より)