保管米の水没被害に10アール当たり7万円の補償
1月20日、国の平成27年度補正予算が成立しました。この中には、昨年9月に関東・東北に大きな被害を与えた集中豪雨災害からの復旧対策費が盛り込まれています。この集中豪雨では、鬼怒川の堤防が決壊し、常総市を中心に約40平方キロが浸水。事業所や住宅、農地などに甚大な被害が出ました。政府は、これらの災害復旧対策や防災対策に約5000億円が盛り込まれました。
特に、農業分野の復旧予算には、収穫後の保管米が水没して売り物にならなくなった分の補償費も盛り込まれました。
関東・東北豪雨における茨城県内の農業分野の被災額は、総額121億2416万円に達しています。内訳は、コメ25億7000万円など農作物が35億8500万円、農業用機械・施設が29億3600万円、畜産関係1億8000万円、共同利用施設2億6000万円、農地などの土地改良関係48億4400万円などとなっています。
この中でも、収穫して農家の自宅や倉庫に保管していたコメが水没して約2億3264万円の被害が出ました。収穫後のコメは農業共済の対象外のため、収穫したコメの保管場所の被災により大きな被害を受け、営農の再開も危ぶまれていました。
JA常総ひかりやJA茨城中央会は、こうした現状を受けて、政府や県をはじめ各政党などに被災農家の支援を行うよう強く求めていました。
井手よしひろ県議ら茨城県議会公明党は、いち早くJA茨城中央会より要請を聴き取り、国会議員との連携で国に強く働きかけました。また、公明党は9月28日に山口那津男代表が常総市の現場に入り、JA茨城中央会の加倉井豊邦会長より要望を受けました。公明党は全力を挙げて、収穫後のコメの補償実現に奔走しました。
その結果、営農を継続することを条件に、10アール当たり7万円を上限に「営農再開支援金」を授精することが決まりました。補正予算には8500万円が予算化されました。
来年度の営農に間に合いように、2月中には効果に支払われるように準備が進められます。
また、今回の関東・東北豪雨被害への農業支援では、飼料用米を生産してた農家の補償も上乗せされます。水田活用の直接払い交付金では、自然災害に対する特例として10アール当たり5万5000円を交付する枠組みはあります。しかし、これでは農家の収入が大幅に低下して、飼料用米への転換にブレーキを掛けてしまうことになります。そこで、ソフトグレーンサイレージなどの他の形態への利用を図るとして、最大10アール当たり8万円を交付できるとしました。
さらに、農業施設、農業機械の支援については、新たに建築、取得する金額の6割を国と県、市町村が補助することになりました。
農業施設は、パイプハウス等が常総市など3市町で5518万円の被害が出ています。農業機械は、トラクター、コンバイン、田植機など1613台、24億4900万円の被害が報告されています。
「被災農業者向け経営体育成事業」として13億1740万円が予算化されました。
ただ、原状復帰が原則であり、この災害を契機にさらに経営体の拡大を図りたいとの「攻めの農業」には、制度が対応できていません。この場合は、TPP対応などの別の枠組みを検討する必要があります。