定数削減には慎重な意見が大勢を占める、逆転区は早急に見直しを!
4月28日、県議会の全会派で構成する小川一成議長の諮問機関である「県議会改革推進会議」(田山東湖座長)は、県内の各種団体の代表者、各会派の推薦する有識者から、定数削減や選挙区の見直しの在り方などについて意見を聴取しました。
4年前2012年に行った定数と選挙区の見直しで、県議会は「1増3減」の定数の見直しと議員報酬の10万円削減を決めました。しかし、1票の格差が抜本的に改善されたとはいえず、人口が少ない選挙区の定数が人口の多い選挙区の定数を上回る逆転現象が9通りも生じ、多くの課題を積み残す決着となったことも事実です。
それから4年が経過。2015年10月に国勢調査が行われ、その速報値を基準とした定数と選挙区割りの議論がスタートしました。4月26日は県議会事務局より国勢調査の速報値をもとに、現状の説明が行われました。また、政治学が専門の茨城大学人文学部社会科学科馬渡剛教授、全国都道府県議会議長会事務総長門山泰明氏から、「県議会の役割と議員定数・選挙区の在り方」について意見聴取を行いました。
その上で28日には、鬼沢邦夫氏(茨城県経営者協会長、常陽銀行取締役会長)、加倉井豊邦氏(茨城県農業協同組合中央会長)、和田浩美氏(連合茨城会長)、豊田稔氏(茨城県市長会長、北茨城市長)より意見聴取を行いました。
鬼沢会長は議員1人当たりの人口(4万6315人)が全国で11番目に多いことなどを踏まえ、「議員の役割をしっかりと果たすのであれば議員数を減らす必要はない。ただ、増やすことは現時点では県民の理解が得られない」とのべました。
連合茨城の和田会長は「1票の格差と逆転現象の解消は命題だ。その手段として合区が現実的だ」と述べました。
定数削減を求めてきた県市長会長の豊田市長は「5万人に議員1人なら面倒みられるのではないか。そこを目標に考えていただきたい。58、59人なら県民にも理解されるのではないか」と提案しました。
午後からは、県議会各会派の推薦により、5名の参考人が意見を述べました。いばらき自民党推薦の高野洋子さん(茨城県看護連盟会長)、自民県政クラブ推薦の中田松雄氏(結城市議会議長)、民進党推薦の鈴木博久氏(茨城県地方自治研究センター副理事長)、公明党推薦の秋山義継氏(拓殖大学大学院教授)、共産党推薦の田中重博(茨城大学名誉教授)がそれぞれ、議員定数や選挙区割りについて発言し、委員と意見交換を行いました。少子高齢化、人口減少社会の到来によって、地方議員に期待される役割は多くなっており、高野会長、鈴木副理事長、秋山教授、田中名誉教授とも、定数の削減は慎重に行うよう意見を述べました。
4会派の参考人の意見は、動画で公開しましたのでご覧下さい。
会派推薦者の意見発表ののち、県内各界各層の代表より意見を伺いました。
伊藤達也氏(茨城県老人クラブ連合会長)、内山治則氏(日本青年会議所関東地区茨城ブロック協議会長)、中村香代さん(女‘性フォーラムOG)、名見耶清吉氏(茨城県手をつなぐ育成会理事、障害者権利条例をつくる会副代表)、 光畑由佳さん(モーハウス代表)、山田萌絵さん(筑波大学・学生)がそれぞれの立場から、県議会に望むものや定数、選挙区割りについて意見を述べました。また、所要で欠席した斉藤平氏(元茨城新聞社副社長、フリージャーナリスト)は文書で意見を開陳しました。
いずれも、現状の定数63は妥当であり、逆転区の解消や議員一人あたりの人口格差を2倍程度に抑える必要があると指摘しました。
今後、議会改革推進会議は人口規模や議会の構成が類似している山梨県や岡山県を視察するなどして、7月までに各会派が見直し案を提出。これをもとに、9月議会に座長案を提示し議論を進め、12月議会には条例改正の審議を行う予定です。
公明党推薦の秋山義継拓殖大学教授の意見陳述