9月1日、井手よしひろ県議は夏休み中(7月1日~8月1日)の茨城県内で起こった水難死亡事故について、茨城海上保安部よりその概要を聴き取りしました。
それによると、この2カ月で9人が茨城県の海岸で亡くなっています。男性が7人、女性が2人となっています。内1人は漁師で、シラス漁を行っている際に高波を受けて船が転覆、海中に投げ出されて死亡しました。また、女性1名は入水自殺したとされています。
残り7人が海水浴中の事故です。5名が外国籍(ベトナム2人、 チュニジア、ニュージーランド、中国各1人)の人ととなっています。
事故に至った要因を分析してみると、一つは「ヘッドランド」周辺で海岸の状況を分からず泳いでしまい、「離岸流」などにながされての事故。もう一つは、土用波や台風の影響などを無視して遊泳禁止の海に入ったための事故が挙げられます。
近年、茨城県の海岸では、沖に向けた強い潮の流れが起きる人工岬「ヘッドランド」周辺で、水難事故が相次いでいます。ヘッドランドは砂浜の浸食を防ぐために設置する人工岬で、海岸から垂直に延びる約150メートルの突堤部分と、横幅約100メートルの半円形の部分からなっています。ハマグリなどの水産資源を守るため、1985年に全国に先駆けて県内で建設されています。大洗町から神栖市までの鹿島灘に34カ所が設けられています。
ヘッドランド周辺は「離岸流」と呼ばれる、秒速1~3メートルで沖へ向かう潮の流れが発生しやくなっています。一方で、海岸近くは「循環流」と呼ばれる弧を描くような流れになるため、砂の流出を防ぐことができます。
ヘッドランド周辺への立ち入りは法律で禁じられていますが、釣り人や離岸流を利用して沖へ出るサーファーには人気が高いといわれています。県が注意喚起の看板を設置しているが、周囲が柵などで囲われているわけではなく、簡単に近づけるのが現状です。また、亡くなっている人に外国人が多いことを見ると、ヘッドランドの危険性が充分に伝わっていない可能性があります。注意喚起を外国語などで行うなどの対応も必要です。
ライフセーバーの配置は8月末まで行うべき
土用波や台風の影響をみてみると、お盆に入ってからの事故車が多いことに気づきます。8月12日、14日、16日、19日、30日と過半数以上が土用波のシーズンに溺れて亡くなっています。この時期の死亡者は4名が県外、または外国の人でした。地元の人は、お盆近くになると海へは入りません。茨城の海岸は、そのまま外洋に面しており台風のうねりなどの影響を直接受けます。そのことへの注意が欠如しています。
また、海水浴場の安全管理の問題もあります。例えば、日立市の河原子海岸で高校生が、19日に亡くなった事例では、海水浴場のライフセーバーが配置されていませんでした。予算の兼ね合いもあり、海開き(7月15日の海の日)から1ヶ月間しかライフセーバーが配置されていませんでした。「お盆を過ぎたら泳ぐ人はいないだろう」との判断があったと言います。
防げる水難事故をなくす取組に、自治体は全力を挙げるべきです。