小学校は2クラス、中学校は3クラス以上
人口減少、少子化が進む日立市では、小中学校の児童生徒数の減少を踏まえて、公立学校の再編検討が進められています。
日立市の小中学生数は減少し続けています。本年度(2017年度)の児童数は8510人で10年前より約26%減少。生徒数は4724人で10年前に比べ約14%減少しました。さらに10年後には児童、生徒数ともに約24%減る見込みで、減少傾向に歯止めがかからないのが実態です。
日立市教育委員会では、昨年(2016年)11月、学識経験者や保護者、地域団体の代表、学校関係者などで構成する学校適正配置検討委員会を設置しました。これまでに7回の検討会議を開き、その素案を取りまとめました。
またこの間、市教育委員会は、昨年11月から12月にかけて、保護者や市民、教職員の計6847人を対象にアンケート調査を実施、計4839人から回答を得ました。アンケートでは、望ましい学校規模として小学校で「2、3学級」程度、中学校で「3、4学級」程度がよいとの答えが多数となりました。
一連の検討会議やアンケートを基に作成された素案によると、小学校はクラス替えの必要性や同学年の教員同士が相談・協力できる体制を整えるため1学年2学級以上。中学校は多様な部活動が実施でき、主要5教科に複数教員を配置できる3クラス以上が適正規模としています。
日立市立学校は小学校25校、中学校15校があり、このうち本年度の学校全体の学級数が教育委員会が示した規模(小学校12クラス、中学校9クラス)を下回っているのは、小学校で10校、中学校で6校に上っています。
学校適正配置方針がまとまっても、直ちに小中学校の統廃合が始まるわけではありません。日立市では、小学校区ごとに住民の自治組織「コミュニティー」が組織されていることや、南北に細長い地形のため再編の地理的制約があり、再編は簡単に進みません。さらに、適正配置配置計画は、校舎や施設の耐震化や改修などの計画にも直結しています。
さらに、つくば市などで進む小中一貫校による義務教育課程自体の見直しの可能性など、日立市の対応の遅れは指摘せざるを得ません。
市教育委員会は、本年度中の基本方針策定に向け、10月16日から市内17カ所で地域懇談会を実施しています。
この地域懇談会では、参加者からは小学校の統廃合へつながるのではとの不安の声が出されました。「この学校この学校は統合され、この学校が廃止される」といった話しが一人歩きしています。
学校適正配置といっても、それは結果的に小中学校の統廃合に繋がっていきます。現場の先生、子供たちや保護者、そして地域の人たちの声に、十分配慮し、慎重に丁寧な適切な対応をしていかねばなりません。