厚生労働省によると、50歳までに一度も結婚したことのない「生涯未婚率」が年々、増加傾向にあります。2017年4月3日に国立社会保障・人口問題研究所(社人研・厚生労働省管轄)が発表したデータでは、男性は23.37%、女性は14.06%でわずかこの5年間で男女とも3%以上上昇したことになります。
今後のこの傾向は続くと考えられ、今の30代が50代になる20年後の生涯未婚率は、最大30%近くまで上昇すると推計されています。3人に1人が未婚という状況です。特に都心部は更に高く35%~40%近い人が生涯未婚ということになります。
生涯未婚の理由はいくつか考えられますが、経済的理由が大きな隘路になっていることは想像に難くありません。
社人研が、結婚の意思のある未婚者を対象に、「1年以内に結婚するとしたら何が障害になるか」を調べました。その結果「結婚資金」との回答が最も多く、男性で43.3%、女性で41.9%に上りました。また、「結婚のための住居」との回答が、男性で21.2%、女性で15.3%でした。
経済的な理由で結婚をためらう若者が増えれば、出生率の低下につながり、少子化が進む恐れもあります。
実施自治体が231に広がる、利用者「出費が多いので、助かった」
公明党青年委員会が昨年、全国各地で実施した政策アンケート「ボイス・アクション」でも、「婚活や新婚世帯への支援」が、多くの若者の支持を集めました。
こうした声を実現するため、党青年委は昨年5月、「ボイス・アクション」の結果を安倍晋三首相に直接伝え、新婚世帯支援など青年政策の充実を求めました。
これを受けて国は、2015年度補正予算に、結婚に伴う住居費や引っ越し費用などを補助する「結婚新生活支援事業」を初めて盛り込みました。今年度は、この事業の対象世帯が、夫婦合計で年間所得300万円未満から同340万円未満まで拡充。補助を受けられる上限額も、18万円から24万円に増えました。
国が必要な経費の4分の3を補助し、残りの4分の1を自治体が負担する仕組です。
結婚新生活支援事業を活用して、新婚世帯を支援する自治体も増えています。実施自治体は、昨年9月時点で101だったのに対して、今年10月11日時点では231まで広がっています。
静岡市では、公明市議の提案を受けて、今年6月から「結婚新生活スマイル補助金」と銘打ち、新婚世帯を対象に最大24万円を補助し、すでに17件で交付を済ませています。静岡市では、市のホームページに、補助の対象となる世帯や経費、申請の方法、受付期間――などをイラスト付きで分かりやすく掲載。このほか、専用のチラシを作成するなどして、市民に広く呼び掛けています。
静岡市の担当者によると、利用者から反響も大きいようです。同市が実施したアンケートで、利用者から「補助金を足しにして結婚式をすることができ、とても感謝しています」「結婚はまとまった出費が多いので、大変助かりました」「結婚する上で、大きな後押しになりました」などといった喜びの声が、多数寄せられています。
こうした結婚支援制度は、若者が地方に住み続けられるようになれば、人口流出に歯止めをかける効果も期待できるなど、自治体にとっての多くのメリットがあります。
より多くの自治体に実施してもらえるように、事業の中身などを周知・徹底していくことが重要です。