12月14日、自民・公明の与党両党は、2019年度税制改正大綱を決定しました。今回の税制改正のポイントは、来年10月の消費税率引き上げを見据え、経済を力強く支えるための対策や、需要の平準化対策を盛り込んだ税制改正になったことです。
特に自動車や住宅は高額な耐久消費財であることから、消費税率引き上げによる駆け込み需要や消費の反動減が生じてしまうと、景気・経済への影響は避けられません。このため、需要の平準化を図る目的で、自動車や住宅の購入に関する負担を軽減する措置が盛り込まれました。これは公明党が消費税率引き上げ後の方がメリットが出るようにと主張していた点であり、評価できる内容です。
自動車税では、来年10月以降に購入した車について、1000~4500円を恒久的に減税します。これは1950年の制度創設以来、初めてのことで、公明党の要望を受けて、多くの人が購入・維持する“大衆車”の減税額を大きくしました。
その上で燃費性能に応じて価格の0~3%を納める「環境性能割」という新たな税が導入されます。この環境性能割課税も、需要の落ち込みを防ぐために、消費税率引き上げ後の1年間は税率を一律に1%引き下げます。この措置は新車のみならず、中古車や軽自動車にも適用されます。
一方で、自動車税は地方の大事な税収にもなっています。このため、減税に伴う約1320億円の減収分については、エコカー減税の対象車種の見直しや、国による地方税財源の補てんなどによって賄い、地方の税収が減らないよう工夫しました。
今回の税制改正について、日本自動車工業会(自工会)の豊田章男会長は「創設以来、70年近くが経過した自動車税に初めて風穴を開け、恒久減税を実現」し、「ユーザーの税負担軽減を大きく進めることができた」と評価するコメントを14日に発表しました。全国軽自動車協会連合会の堀井仁会長も「軽自動車ユーザーに対して配慮いただいた」と強調しています。
恒久減税は、2019年10月に消費税率が10%に引き上げられた後に新たに購入・登録した車を対象に、自動車税を年最大4500円減税するものです。▽排気量1000㏄以下が2万5000円(現行2万9500円)▽1000㏄超1500㏄以下が3万500円(同3万4500円)――など全ての排気量で引き下げます。排気量が少ない小型車ほど引き下げ額が大きくなります。
車の購入時に払う自動車取得税は、消費税率引き上げに合わせて廃止されます。代わりに、燃費に応じて価格の0~3%を納める「環境性能割」が導入されます。需要の落ち込みを防ぐ観点から、消費税率引き上げ後の1年間は税率を一律に1%引き下げる。この措置は、中古車や軽自動車にも適用されます。
この恒久減税で地方税が減収となることについては、エコカー減税の見直しや、グリーン化特例の重点化、環境性能割の基準見直しで財源を確保するとともに、国費でも補填します。
また、自動車取得時の負担を緩和するため、来年10月1日から1年間、自家用乗用車(登録車・軽自動車)を取得した場合、環境性能割の税率を1%分軽減し、これによる地方税の減収分は国費で補填します。
新たに導入される環境性能割については、環境インセンティブ機能を強化するため、自家用乗用車(登録車)の税率適用区分を見直します。非課税対象を2020年度燃費基準より10%以上燃費性能の良いものとしていたが20%以上とします。
2021年4月以降に購入した新車から、自動車税、軽自動車税のグリーン化特例(軽減)の適用対象は電気自動車に限定されます。
自動車重量税のエコカー減税は、軽減割合を見直すとともに、2回目車検時の免税対象について、電気自動車や極めて燃費水準が高いハイブリッド車に絞り込みます。現行、75%軽減を50%、50%軽減を25%とする。自動車取得税のエコカー減税の軽減割合も、現行80%軽減を60%軽減、60%軽減を50%軽減、40%軽減を25%軽減にそれぞれ見直します。バス・トラックは対象外となります。