5月28日、日立市議会は、茨城県が関与する新たな産業廃棄物最終処分場の候補地に日立市諏訪町の採石場跡地が選定されたことを受け、急遽全員協議会を開催しました。
県から宇野善昌副知事を迎え、事業概要や選定理由などの説明を聴取しました。
これを受けて、日立市議会の茅根茂彦議長は、市議会6月定例会で特別委員会を設置する方針を明らかにし、慎重に受け入れの是非を検討する考えを示しました。
全員協議会は市議28人中27人と小川春樹市長ら市幹部が出席しました。宇野副知事は、全協が地元理解を得る第一歩と位置付け、候補地選定の背景や経緯、整備の考え方などを説明しました。28日は、説明のみで市議との質疑は行われなませんでした。
最終候補地に選定されたのは、県道日立常陸太田線の南側の約9.6ヘクタールの工業地域で、昨年3月に採掘を終了した日立セメントが所有する石灰岩鉱山の一部です。埋め立て容量は約244万立方メートルで、半径300メートル以内には同鉱山の事業所しかなく、500メートル以内に約30戸の住宅があります。整備費は概算で約208億円。県は、地元合意を早期に取り付け2023年度に着工し、2025年度の供用開始をめざしています。最終処分場はがれき類やガラス陶磁器くず、汚泥などの産廃を埋設します。
説明の中で宇野副知事は「環境都市宣言をしている日立市にふさわしいモデル的な施設整備を行う」と強調。公共処分場の先行施設、「エコフロンティアかさま」と同様に、多重構造の遮水対策を実施し、雨水などが埋設廃棄物に触れて浸出した場合は、処理施設で浄化し下水道に放流するとしました。また、「市民と市の理解を得られるように最大限努力していく」と最終処分場の受け入れに理解を求めま、その上で、環境教育施設を付帯整備する方針も新たに説明しました。
終了後に宇野副知事は、市民のほか、環境団体や企業にも説明の場を設け、対話を重ねる考えを示しました。「できるだけ早く説明をやりたい。いつまでに終えるといった期限は設けないで、理解を求めていく」と述べました。今後策定する基本計画については「市の考えや要望を聞きながら進める」としました。整備用地に関しては、地権者である日立セメント側から購入すると明確にしました。
茅根議長は「特別委を設置して慎重に議論していく。市民が安心を得られる施設になってほしい」などと話し、県側と質疑の機会が必要との考えを示しました。小川市長はこの日の定例記者会見で「市議会がどういった意見をまとめるかが鍵になる」と候補地について言及しました。