11月2日、立憲民主党の枝野代表は党の役員会で、衆議院選挙で選挙前の議席を下回ったことについて「私の力不足だ」と陳謝したうえで「新しい体制を整えて来年の参議院選挙などに向かっていかなければならない」と述べ、代表を辞任する意向を表明しました。立憲民主党は10月31日に行われた衆議院選挙で、小選挙区と比例代表合わせて定員の過半数を超える240人の候補者を擁立するとともに、多くの選挙区で共産党などと候補を一本化して臨みました。しかし、立憲民主党の獲得議席は小選挙区57、比例区39の計96に止まり、公示前の109から13議席も減らしました。共産、国民民主、れいわ新選組、社民各党と候補者を一本化した小選挙区では9議席増やしましたが、与党候補に競り負けたところが多くありました。共闘の効果は限定的で、地力不足も明らかとなった。特に深刻なのは、比例区の22議席減です。
2日の役員会で、枝野代表は「政権選択の構えを作ることはできたが、選挙の結果は平野代表代行や辻元副代表をはじめ有為な仲間がたくさん戻ってくることができず、また現有議席を下回るという大変残念な結果となった。ひとえに私の力不足だ」と述べました。そのうえで「私どもとして次のステップを踏み出していくことが立憲民主党の役割、責任だと思っている。そうした状況を踏まえるなら、新しい代表のもと新しい体制を構え来年の参議院選挙、そして次の政権選択選挙に向かっていかなければならないと決断をした」述べ、代表を辞任する意向を表明しました。枝野代表は、10月10日に召集される特別国会の閉会日に辞任しその後、党員などが参加する形で代表選挙を行う考えを示しました。
今回の立憲民主党の敗因は、なんといっても共産党との票目当ての野合であったことは論を待ちません。朝日新聞は、11月2日の社説で「衆院解散が迫るまで、共闘の中身を煮詰めなかった準備不足の影響はなかったか。自衛隊や日米安保など、基本政策の異なる共産党との連携に有権者の理解を得る努力は十分だったか。」と指摘しています。共産党との共闘に、立憲民主党内での十分な議論はあったのだろうか?外から見てみると、枝野代表の独断専行の様に見えてなりません。市民連合と野党の政策協定に記された署名は、枝野代表の個人名のみでした。朝日新聞は「「首相候補」として支持を得られなかった枝野幸男代表の責任は極めて重い。党内から辞任を求める声があがるのも当然である。出処進退は潔く自ら決断すべきだ。」と厳しく指弾していました。
来夏の参院選に向け、成果を強弁する共産党
一方、今日の相手である共産党。小選挙区では1議席を守ったものの、比例代表選挙で、前回獲得した11議席から9議席に後退。得票数は、800万票を目指したにもかかわらず前回の440万票から416万票へ5%以上減らしました。惨敗という結果にもかかわらず、まったく反省していないようです。
11月1日に発出された「総選挙の結果について」という中央委員会常任幹部会のコメントには、「日本共産党は、今度の総選挙で、「野党共闘で政権交代を始めよう」と力いっぱい訴えてたたかいました。自民・公明政権の継続を許したのは残念ですが、このたたかいは、最初のチャレンジとして大きな歴史的意義があったと確信するものです」とぶち上げ、「この選挙での野党共闘は、共通政策、政権協力の合意という大義を掲げてたたかったものであり、一定の効果をあげたことは間違いありません。それは、全国62の選挙区で、野党で一本化をはかった候補が激戦に競り勝ち、何人もの自民党の重鎮、有力候補を落選させたことにも示されました。全国各地で、たたかいの現場から心が通う共闘がとりくまれ、多くの新しい連帯の絆が広がったことも、今後に生きる大きな財産です」と自画自賛しています。
そして、結論として「来年夏には、参議院選挙が行われます。日本共産党は創立100周年を迎えます。参議院選挙で、今度こそ市民と野党の共闘を成功させながら日本共産党の躍進をかちとるという「二大目標」をやり遂げ、党創立100周年を、新しい政治変革のうねりのなかで迎えられるよう、参院選勝利をめざす宣伝・組織活動と、強く大きな党をつくりあげる仕事に、ただちに足を踏み出します」と、拳を上げています。
共産党にとっては、一度の選挙の結果より共産党主義革命達成のために、何が何でも立憲民主党を取り組んで、野党共闘を続けることが必要だったのでしょう。
“準”革命政党の道を選択してしまった立憲民主党
選挙現場では立憲民主党と共産党の「融合」が進んでいました。10月30日付けのしんぶん赤旗には有田芳生立憲副幹事長が、共産党が沖縄1区とともに重点選挙区とする京都1区に入り、穀田候補の応援演説を行っている様子が報じられました。(そもそも、有田芳生氏は元々日本共産の党員だったと言われており、先祖返りですが)。さらに同日付の産経新聞では、立憲民主党の小選挙区の候補者があからさまに「比例は共産党」と訴える場面もあることが指摘されています。比例区は共産へとの党の機関決定があるのならまだ話はわかるものの、党中央は閣内協力は行なわないと言明しているのに、現場の候補者が比例票を共産党に回すように主張するようすが全国で見られました。ここにおいて、日本共産党の思惑通りに進んでいました。枝野代表が導いたこの協力関係は、立憲民主党をすでに革命政党の下部組織=フロント組織に貶める結果となっていたのです。
枝野代表の引責辞任は必然。その上で、共産党との共闘体制を見直すべき!
日本の政治の中で、立憲民主党の存在価値は大きいと評価します。その中で、枝野代表の引責辞任は当然の結末です。11月1日、立憲民主党の最大の支援団体で労働組合・連合の芳野友子会長は、野党共闘について「連合の組合員の票が行き場を失った。到底受け入れられない」と批判しました。
立憲民主党は、単に人事を一新するだけではなく、共産党との選挙協力などの共闘の是非をオープンに議論すべきです。俗な言い方ですが「共産党とは手を切った方が良い」と申し上げたいと思います。