2024衆院選で、国民民主党が強く主張した年収103万円の壁問題。
年収の壁問題に対して公明党も政府も、「年収の壁・支援パッケージ」を推進することでその是正を図ってきました。
国民が訴える政策と政府が進める政策の違いは何なのか、少数与党に陥落した自公は、国民との政策のすりあわせてどのような政策を提案するのか、注目していきたいと思います。
まずその前段として、オタク会計士ch【山田真哉】さんの分析を紹介します。
控除限度を引き上げることで、社会保険(年金)への加入率を上げることが出来るという主張には納得します。
国民民主党の基礎控除を178万円にまで引き上げる案に対して、財務省や専門家から様々な批判も寄せられています。
その批判は、以下の4点にまとめられます。
①年収の壁にあえぐパート労働者には、増収はわずかでしかない。
仮に、年収103万円を超えて130万円まで労働時間を延ばしたとしても、この施策で増える手取りは年額1万3500円にしかならない。住民税分を加えても4万円程度。現状の税額はこの程度の微額であり、103万円は大きな年収の壁ではない。
年金・健保負担が始まる130万円が本当の壁である。そこで、自公政権(政府)は、「年収の壁・支援強化パッケージ」をスタートさせている。年収106万円、130万円の壁を超えても働き控えとならないよう、労働時間の延長などを行った企業に最大50万円を支援するというものです。
②国民民主党案だと、年収が上がるにつれて減税額が大きくなる。
年収800万円で25万円、1200万円で30万円、1500万円で35万円、2500万円で40万円、5000万円で45万円となる。国民案は結果的に金持ち優遇に他ならない。
③財源は7.6兆円と桁外れに大きくなる。
また、この7.6兆円の大規模な減税の3分の2近くが、年収800万円以上の高所得者に配られる。
④控除より給付が時代の流れ
そもそも「控除は、金持ち優遇になるから縮小し、給付を増やすべき」というのが、2000年以降の常識となっています。
この国民案への批判は、「手取りを増やす」というシンプルな選挙公約を有権者が支持したという時点で、説得力を持たなくなってしまいました。
①の「年収の壁・支援強化パッケージ」を活用しようという企業は増えません。国の税金が直接働いた人に見える形で渡らないという欠点があります。
②金持ち優遇という批判も、減税の率を計算してみると、所得の低い方に有利に働きます。
⑤そもそも国民は「給付をバラマキと理解する」傾向が強くなりました。働く者の実感にそった政策を検討する必要があります。
③、④財源問題は真剣に検討する必要があります。手取りが増えれば、経済の好循環につながり、税収も増えるという考え方もあります。