廃止を求めて各議会で運動を:公明党県本部
5月9日の新聞各社の報道で、市議会議員の海外視察に支度金を支出している茨城県内の市町村が複数あることが分かりました。
報道の内容によると、県市議会議長会主催の海外行政視察が6月にあり、9市から市議計29人が参加を予定しており、経費を市町村が全額負担するだけではなく、土浦市、つくば市、鹿嶋市では、旅費とは別に支度金も支給されるといいます。更に、土浦市、鹿嶋市では日当も支払われます。支度金は、海外渡航が珍しかった時代に制定された制度で、国民誰もが気軽に海外旅行できる今の時代にはそぐわない制度となっています。
朝日新聞の記事(2005/5/9付け茨城版)によると、県市議会議長会は、6月26日から5泊6日でマレーシア、シンガポールを回り、市議会の表敬訪問や企業視察などをする予定です。旅費は25万円で、各市町村が全額を負担。保険代などは個人負担となります。8日までに参加を表明しているのは水戸市や土浦市など9市。土浦、つくば、鹿嶋各市の支度金は6万~7万円で、笠間市は支度金9万円を含め、総支給額の限度を25万円としています。いずれも条例で支度金の支払いを定めています。
県市議会議長会の海外視察に参加する市と支度金額
水戸市 | 5人 | なし |
笠間市 | 5人 | 9万円。ただし旅費と合わせて上限25万円 |
つくば市 | 4人 | 7万円 |
坂東市 | 4人 | なし |
土浦市 | 3人 | 7万円 |
日立市 | 2人 | なし |
石岡市 | 2人 | なし |
下妻市 | 2人 | なし |
鹿嶋市 | 2人 | 6万6千円 |
公明党県本部では、井手よしひろ幹事長が、個別に各公明党市議団に状況を聴取すると共に、議会の自主的判断のもと早期の支度金廃止を実現するよう要請しました。
一連の報道や公明党などの働きかけを受けて、土浦市、つくば市、鹿嶋市などが具体的に支度金についての議論を開始しました。
土浦:中川市長が廃止の意向示す
土浦市では、市議だけではなく随行する職員にも支度金が支払われている事実が判明しました。
土浦市には海外視察の旅費規定がなかったため、平成14年に市職員の旅費に関する条例を設けました。土浦市の説明によると、昭和25年に制定された「国家公務員などの旅費に関する法律」(旅費法)をモデルとしました。支度金は外国の訪問先で市長や市議、一般職員が市の代表として品位や体面を維持するために必要な支度をそろえるための費用に充当します。具体的には渡航のための服装や携行品などを整えるための費用として支給されるといいます。何に使用したかの報告義務はありません。市長や議員ら特別職に支度金7万円、日当一日あたり6200円、一般職員に支度金6万1000円、日当5200円が支給されています。
9日の定例記者会見で中川清市長は「行政視察自体を否定するものではないが、支度金は海外に行く人が少ない時代なら分かるが、今の時代にはどうかと思う。他の自治体もやめる傾向なので、条例を改正して廃止したい」と述べました。
つくば市:検討の必要性を市原市長が明言
5月10日の定例記者会見で、つくば市の市原健一市長は「支度金の額や使い道について検討する必要がある」と述べました。
つくば市では「市職員旅費条例」で支度金について、市長など特別職には1カ月未満が7万70円、1カ月~3カ月は8万5090円、それ以上で10万100円、一般職員にはそれぞれ6万1990円、7万5270円、8万8550円支払うと定めています。使い道の報告義務はありません。市議の海外視察などの支度金も市職員に準じており、市が条例を廃止すれば議員の支度金も廃止される見込みです。
鹿嶋市:総務部長が職員の支度金廃止の意向
鹿嶋市の「市職員の旅費に関する条例」によると、海外出張の支度金として1カ月未満は6万6030円、1カ月~3カ月は8万180円、それ以上は9万4330円が支払われます。市長ら特別職もこれに準じています。
朝日新聞社の取材に対して鹿嶋市の大橋正彦総務部長は「パスポート代など出張に伴う実費をなくすわけにはいかないが、一律の支度金というのは廃止したい」と、廃止へ向け検討する意向を示したとされています。さらに「市議の中には一律の支度金に疑問を持つ声がある。市側が廃止を打ち出せば、議会側も同調するだろう」と語りました。