最近、60代の方々と懇談する機会がありました。少子化対策や長寿医療制度の話題も出ましたが、一番の話題は少年犯罪の凶悪化とその増加でした。皆さん口をそろえて、「私たちの小さな時には、今のような残酷な犯罪も凶悪な犯罪を起こす青少年はいなかった」「その原因はテレビゲームの普及である」「教育が荒廃しているからだ」などの意見が交わされました。
こうした意見が出されるのは、やはり毎日のようにテレビで報道される少年の凶悪犯罪によるものが多いと思います。こうした議論になると、私は以下のような数字を示すことにしています。
このグラフは、管賀江留郎氏の「少年犯罪データーベース」の数値を加工したものです。18歳以下の少年犯罪の内、「殺人」と「強盗」について、昭和21年から平成18年までの統計をまとめたものです。これを見れば、60代の方々の青春時代こそ、凶悪犯罪のピークであったことが一目瞭然です。
「殺人」に関して言えば、昭和30年代の2割以下に激減していることになりました。
「強盗」に関しては、平成9年から第3のピークを迎えているように見受けられますが、実は、犯罪の捉え方自体が変更されたからだとの指摘があります。強盗には「強盗致傷」「強盗強姦」「強盗殺人」の3種類があります。かつては、少年が窃盗を行った後に被害者に暴行を加えると、窃盗及び傷害の容疑で逮捕されていました。しかし平成9年6月に全国警察少年担当課会議で、当時の関口警察庁長官が「悪質な非行には厳正に対処、補導を含む強い姿勢で挑む」として、警察庁はそれを受け8月に「少年非行総合対策推進要綱」を制定し、少年犯罪の取調べを強化しました。その結果、今まで窃盗及び傷害として検挙されていた少年たちが「強盗致傷」として検挙されるようになったといわれています。つまり、今まで「強盗」にカウントされなかった犯罪がこの年から、「強盗」として統計に加算されてきたのです。
つまり、少年の凶悪犯罪の増加は統計的には見られないという結論になります。問題は、その内容の変化ということになると思います。
働くキリギリス 様
いつもコメント感謝いたします。
いずれのコメントも間違いなく掲載れています。
今後ともよろしくお願いいたします。
先日コメントを記入し、トップページのリストには載っているのですが、コメント内容が表示されません。なぜでしょう? 何らかのミスで、空白のまま投稿したのかな?
「殺人、傷害、強盗などの凶悪犯罪がずいぶん身近(繁華街、家庭、学校、病院など)で発生するようになったのではないか」との指摘もあります。マスコミが特にセンセーショナルに報道する影響かもしれません。
これについても、「印象」と「実態」を注意深く吟味評価し、本当にそうなのか、真実の傾向を分析する必要があると思います。
もし上記傾向が格段に進行しているなら、防犯カメラ配置、警官・自警組織の強化は有力な対抗策でしょう。逆に上記傾向が強まったわけではないなら、危ない状況に近寄らないための「教育、意識啓発運動」などを主流にすべき。つまり、予算の使途が全く変わってくる。
{治安の悪化→警察力増強→監視社会傾向の強まり→基本的人権の抑圧など}、良かれと思って取り組んだ施策が別のとんでもない弊害を生み出すこともあり得るので、犯罪実態の克明な調査分析と対策の吟味に力を注いでほしい。
党レベルで取り組みませんか?