少子高齢社会を背景に、犬やネコなどペットへの関心が高まり、人間にとってペットは大切な家族の一員であり、人生のパートナーともいうべき時代になりました。
国内で飼育されている犬とネコの数は約2200万匹に及ぶます。彼らは人間の心を癒やし、さまざまな形で生活を豊かにしてくれています。
一方、こうしたペットブームの陰で、捨て犬や野良ネコが増え、年間28万匹が殺処分されている現実があります。1日に約800匹もの犬とネコの命が失われていることから、わが国は“動物愛護後進国”と指摘されています。看過できない問題です。
特に、茨城県においては、犬の処分頭数が4108頭と全国ワースト1と大変憂慮すべき事態となっています。(2009年度NOP「地球会議ALIVE」の調査結果)
その背景には、無責任な飼い主による飼育放棄やペット売買などの問題が横たわっています。悪質なペット葬祭業者による不法投棄も記憶に新しい事例です。
公明党は、生命の尊厳が第一という観点から「人と動物の共生社会」の実現をめざし、対策を推進してきました。
公明党のリードで2005年に「動物愛護管理法」が改正され、悪質なペット業者に対しては営業停止命令が出せる規制強化などが盛り込まれました。また、06年には国が10年間で殺処分数を半減させる基本指針を決め、その結果、06年には34万匹だった殺処分数が2年後の08年には28万匹にまで減った経緯があります。
しかし“後進国”“後進県”の汚名を返上するためには、多くの課題があります。
政府の動物愛護管理のあり方検討小委員会は現在、動物の深夜販売やインターネット販売の是非などを論点に同法のさらなる改正に向けて協議を進めています。具体的な方針の早急な提示が必要です。
動物愛護について公明党は「飢えと渇きからの自由」「肉体的苦痛と不快からの自由」など「5つの自由」を基本理念にした法整備をめざしています。このため党の環境部会と動物愛護管理推進委員会が現在、専門家や獣医師、NPO(民間非営利団体)など関係団体と精力的に議論を重ねているところです。
こうした法整備とともに、公明党は犬やネコの殺処分ゼロをめざした取り組みにも全力を挙げています。特に殺処分の大半がネコであることを踏まえ、ネコの不妊去勢手術費用の公的助成を強力に進めていく考えです。また、遺棄防止のため、個体識別可能なマイクロチップ装着も推進します。
併せて、犬が自由に走り回れるドッグラン施設の整備、獣医師をサポートする「動物看護士」の資格化、学校での動物飼育を通じた生命尊重教育にも取り組んでいきます。
また地方自治体においては、市町村に動物愛護の担当部門を設置することが一番の課題解決の直道だと提案します。現在、動物愛護と保護や処分を行っているのは県生活衛生課と動物指導センターです。住民生活により近い市町村での動物愛護の啓発活動が何よりも重要です。
(写真上:長野県動物愛護センター、写真下:茨城県動物指導センター)
こんな現状ですか。なんだか悲しいです・・・。 人間が作り出したのに・・・。命ってなんてはかないんでしょう。救いたいって思わないの?