消費税10%、全体像なければ一体議論できず、増税だけが目的に
2月29日、公明党の山口那津男代表は、今国会初の党首討論で、野田佳彦首相(民主党代表)と論戦を交わしました。山口代表は「社会保障と税の一体改革」について、年金抜本改革などの全体像を示さないまま、政府が今後、社会保障関連法案をバラバラに国会提出するというのでは「消費税増税の法案と一体的に議論できない」として「一体改革は総崩れ」と批判。また、国会議員歳費の削減の提案に対し、首相は賛意を示しました。
山口代表は、社会保障と税の一体改革について、その一体性が崩れてきており、「何のために消費税増税をやるのかが、はっきりしなくなってきている」と指摘しました。
まず、2月17日に閣議決定した大綱で、民主党が主張してきた年金制度の抜本改革について、具体像が明記されなかったことを踏まえ、「大綱には社会保障の全体像が示されていない。姿、形の見えないものを相手に議論のしようがない」と強調。さらに、首相ら政府首脳が一体改革と言いながら、社会保障分野の関連法案をバラバラに提出する意向を示していることから、「大綱そのものが全体として、法律として実現する保証がない」と批判しました。同時に「消費税(増税法案)と一体的に議論することができない」として、「一体改革は総崩れ状態だ」と厳しく指摘しました。
その上で、大綱のうち、確実に提出される見通しなのが消費税増税法案であることから、「消費税増税だけが一人歩きして議論されることになりかねない」と懸念を表明し、「社会保障の全体像は置き去り、消費増税だけが目的となってしまうのではないか」と首相を問いただしました。
これに対し、野田首相は、「社会保障のイメージ、具体的な政策は、頭に描きながら議論できると思うので、それは一体改革というふうに理解いただきたい」と答え、かみ合いませんでした。
また、山口代表は、2月29日午前の参院本会議で国家公務員の給与を平均7.8%削減する法律が成立したことに関連して、国会議員自らが身を切る姿勢を示すため議員歳費の削減を主張。「首相が『身を切る改革』というなら、全議員が身を切る結果を被らなければ、どうして『身を切る改革』になるのか。(全議員が)痛みを感じない定数削減は『身を切る改革』ではない」と力説しました。
その上で「国会の事務総長らの給与は20%削減される。だとすれば、国会議員も歳費の20%削減をすべきではないか」と提案し、民主党代表としての首相の賛否を明らかにするよう求めました。
野田首相は、公務員の給与削減法が成立したことで「今度は議員はどうするのかという議論になるのは自然の流れだ」と応じ、「少なくとも、国家公務員の幹部級は10%削減ぐらいになるわけだから、その上の方をにらみながらの判断はあってしかるべきだ」との認識を表明。さらに「その意味では、山口代表の提案に賛成であると明言する」として、歳費削減に賛意を示しました。