3月25日、日立市の渋滞緩和のために待望久しかった“山側道路”が全線開通しました。山側道路開通の効果を、交通量調査の結果から検証してみたいと思います。
国、茨城県、日立市の道路管理者3者は、5月23日ならびに26日、山側道路、国道6号、245号、市道25号線などの交通量調査を行いました。この結果を全線開通前の調査結果と比較したところ、山側道路の利用者が4割から8割増え、国道6号、245号の交通量は1%~10%の減となり、交通量が分散している好結果が確かめられました。
大みか6丁目と多賀駅入り口間の旅行時間を比較すると、国道6号線では2~5分も短縮されました。また、夕方の渋滞時には上り方向(多賀から水戸方面)で、31分かかっていたものが、山側道路経由で11分で行けるようになり、所要時間が3分の1になりました。
しかし、課題がないわけではありません。国道6号大みか6丁目交差点の改良は道半ばであり、6号線の4車線化拡幅が完成するまでの暫定的な交差点形状で運用されることになってます。開通当初、この大みか6丁目交差点の水戸方面への右折車両の渋滞が発生し、利用者からは改善を求める声が多数寄せられました。
今回の調査では、新しく開通した山側道路から大みか6丁目交差点に流入する交通渋滞を測定しました。その結果、最大渋滞長は、朝7:50~8:00の時間帯で370m発生。その通過に9分27秒を要しました。信号の調整や右折車両と直進車両が自然に車線を分けるようになったことなどにより、渋滞時間は若干短くなる傾向がありますが、一層の改良が望まれています。
調査結果の概要
- 国道6号及び国道245号
山側道路全線開通後の国道6号の交通量は、開通前と比較して200台~1800台/12h程度減少。減少率は1%~10%減となりました。交通量が全体的に減少したことで、走行性に改善が図られました。
国道245号の交通量は、水木町地先で減少3%減少したものの、河原子町地先では7%増加となりました。 - 山側道路
山側道路全線開通後の山側道路の交通量は、みかの原団地西側付近で、9800台/12h、台原団地西側付近で7800台/12h、塙山団地西側付近で6800台/12hとなり、それぞれの増加数は、3100台/12h(46%増)、3600台/12h(83%増)、皆増でした。 - 地域内生活道路(市道25号線・塙山団地を貫通する道路)
市道25号線の交通量は、山側道路全線開通前3500台/12hから3100台/12hへ450台/12h減少し、沿道の生活環境の改善が促進されました。 - 全体的な交通状況の変化
全体的に、山側道路の全線開通に伴い、これまで国道6号と国道245号を主とした南北移動の交通が、山側連絡を含めたそれぞれの路線に分散され、国道6号の走行性の向上と南北移動の時間集結が図られた。また、これまで渋滞を回避するために抜け道として使用されていた生活道路である市道25号線及びその他周辺市道の交通が、幹線道席である国道6号、国道245号及び山側道路へ転換されたと考えられる。 - 旅行時間比較
国道6号多賀駅入口交差点から大みか町6丁自交差点まで(延長5.6キロ)、国道6号を走行した場合の旅行時間を、山側道路全線開通前と開通後で比較すると、開通後において2分~5分短縮された。上り(石名坂方面へ)と下り(多賀方面へ)では旅行時間に差があり、開通後における午後5時台の上りが28分であるのに対し、下りは10分となりました。
この時間帯における、山側道路経由での同地点間 - (延長6.8キロ)の旅行時間は、上り11分、下り12分であり、上り方面の交通では、山側連絡を使用した方が17分も短縮できます。
- 大みか町6丁目交差点(山側道路から国道6号への右折車)の渋滞長
今回の調査では、新しく開通した山側道路から大みか6丁目交差点に流入する交通渋滞を測定しました。その結果、最大渋滞長は、朝7:50~8:00の時間帯で、370m発生し、その通過時間は9分27秒でした。
渋滞長:信号が「赤」から「青」に変わる瞬間の最後尾停車車両が、その青信号で捌け残った場合の停止線からその車両までの距離。
通過時間:渋滞長で観測した車両が、停止線を通過するまでに要した時間。