3月5日、東海第2原発を運営する日本原子力発電(日本原電)と週辺自治体が、東海第2原発の再稼働の前提となる安全審査を申請する前に、その内容を説明するなどとした覚書を締結しました。
覚書は、東海村と周辺5市でつくる原子力所在地首長懇談会(座長:山田修東海村長、ひたちなか市、水戸市、日立市、那珂市、常陸太田市)と県央地区首長懇談会(座長:高橋靖水戸市長、笠間市、ひたちなか市、那珂市、小美玉市、茨城町、大洗町、城里町、東海村)が、原子力安全協定の見直しまでの当面の措置として締結を求めていました。
覚書の第1条では、 再稼働について県や地元自治体に判断を求める前までに原子力安全協定を見直すことが明記されました。
第2条では、この覚書が再稼動に直結しないことを確認しています。
第3条では、 安全審査の申請の前段で、東海村と茨城県だけではなく6市村に対しては、内容を事前に説明し、事前に理解を得るることが盛りこまれています。(県央地域の9市町に対しては、理解を得るべく真摯に対応するとされました)
第5条、第6条では、使用済み核燃料の安全対策について「計画、実施した時は、説明、報告する」としており、原発に立ち入り、現地確認できる権限を認めています。
東海第2原発再稼働に2つのハードル
原子力事業者が安全審査の申請の前に、30キロ圏内の市町村とこのような覚書を結ぶことは極めて異例であり、他の原発には前例はありません。
この覚書により日本原電は自ら2つのハードルを課したことになります。
その一つには、安全審査の申請の際に周辺11の自治体にその内容を説明する責務を負ったことになります。申請自体を止める拒否権的な意味合いはありませんが、仮におざなりの説明で(短期間の説明で)お茶を濁すことがあっては再嫁動の判断にはむしろマイナスとなると思われます。
第2のハードルは再稼動の判断の際に地元自治体である茨城県と東海村だけではなく、周辺自治体の意見が大きく影響するということです。
原発の所在地である東海村は東海第2原発の直接のメリットを享受しています。しかし、水戸市をはじめとする周辺市町村は、いわゆる原発リスクに曝され、地域のブランド力の低下にもつながっています。再稼働への住民の意見は厳しいものがあります。
なお、周辺11市町村との覚書は締結されましたが、30キロ圏内の残り4市町(鉾田市、常陸大宮市、高萩市、大子町)の対応も重要です。